白執事

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服ができるまではメイリンのメイド服を着て仕事をすることになった少女




引きずってしまう裾や袖、余る布は裾上げなどをして
何とか着れるようにと、セバスチャンが調整した





しかし小柄な方である少女が服を実際に着用してみても
やはりというべきか




メイド服に着られているような状態になってしまった






「これ以上は……どうしようもありませんね」






顎に指を当てて、眉を顰めながら困ったようにつぶやくセバスチャンに




少女は自身の着用したメイド服を見つめるのをやめてセバスチャンを見つめた






「へい、き……。仕事、は……できる。




……なに、したら……いい?」






こてり、と首を傾げながら訪ねる少女に
セバスチャンは笑顔のままピシリ、と体をこわばらせた





「……なに?」





反応がなく、見つめ続けるセバスチャンに
少女は微かに眉を顰めながらそう言えば




セバスチャンはゴホン、と一つ咳払いをして少女に指示を出し始めた





「そうですね……。では、初めに屋敷の案内をしましょう。




終わったらそのまま厨房へ向かって、夕食の仕込みをしましょうか」





コクリ、と頷くのを視界に入れて
セバスチャンは順々に部屋の場所を指さして名前を教えた




道具がしまわれている場所も、すべて1つも教え忘れることなく伝えて、その足を厨房へと向けた






ちょうど厨房へと到着しようとしたその瞬間
目の前の厨房から大きな爆発音が聞こえてきた





その音を耳に入れると、セバスチャンは大きくため息を零して
扉を開ける






「何事ですか!」





開けた先には、部屋中黒く染まり
その中心には灰で黒く染まったバルドと料理とは思えない黒すぎる物体







「いやー。一気に焼き上げちまおうと思ったんだが、失敗しちまった」






ナハハ!、と頭を掻きながら豪快に笑う彼に
セバスチャンは先ほどよりも重い溜息をついて頭をうなだれた






「はぁ……仕方ありませんね。



ひとまず残った食材で昼食を作ります。




シロ、夕食の仕込みをするのはこの部屋を片付けてからでもいいですね?」






「手伝う……?」






「いえ……。そうして頂けるのは嬉しいですが、急ぎを要します。



ひとまずここは私が」






サッ、と袖をたくし上げて
素早く昼食を作っていく





急いでいるにもかかわらず、次々と出来上がっていく料理は、素晴らしく美味しそうだった
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