白執事

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こくり、こくり




時刻は真夜中午前2時




こくり、こくり




広い部屋の奥で一人の少女がうとうとと眠そうに首を揺らす




こくり、こくり




白く長い髪は地面に広がり月明かりに照らされて美しく輝く





こくり、こくり





少女の頭が揺れる中、この部屋唯一の扉が静かに開かれると
伏せられていた少女の瞼がフルリと震えてゆっくりと開かれる






カツリ、カツリ





無機質な音が響き、その音の発信源を
少女はゆっくりと、髪をなびかせて振り返った





カツン





少女の瞳が、音の原因を捕える同時にその音はぴたりとやむ





「誰だ」





男性にしては随分高く、女性にしては少し低い
少年の様に幼くつやのある声が空気を震わせる





「……」




少女は反応を示すことなく、目の前の少年と高身長の男を見つめる






「聞いているのか。

お前は誰だと――」





「まってた」





少年の言葉を煽るように、静かな落ち着いた声を少女が吐いた






「あなたたちが、くるの………まってた」





意味が解らないと、何を言っているのだと言う様に
少年の眉間に小さな皺が出来る





少女はそんな少年の表情を無視するように立ち上がり
傍にあるチェスボードの置かれたテーブルの椅子に座る





「ゲーム、しよう……」





「は……?」






「互いに賭けるものは、望むものを……なんでもひとつ」





たんたんと、坦々と話を進める少女に
少年は待てと声をかける





「そんなものをするメリットは僕にはない。


それに僕が言っているのはお前が何者かという――」





「情報……」




ポツリと零した少女の言葉に、少年の片眉がピクリと反応を示す





「……今あなたが欲しい情報……一度だけ、教える……。



聞かれたこと、全部……」






静かに少女を見据えた少年は、諦めたように瞼を伏せて
はぁ、とため息を尽いた






「いいだろう。ただし、先程お前が言った通り
お前が勝っても言うことを聞くのはひとつだ」





「よろしいのですか?坊ちゃん……」





「いい。さっさと終わらせる」





腰を少し曲げながら問いかける男に、少年は閉じていた瞼を片方上げて
視線だけをよこし
少女とチェスボードの机を挟んだ椅子にすわる



男は少年の斜め後ろで立つ





「ゲームは?」





「何でもいい……。
トランプ、も…ある」






「ほう。まぁ目の前のチェスでいいか。始めるぞ」





「……りょーかい…。先攻後攻、どっち?」






「先攻」





カタリ、と少年が駒を動かす音を合図に
ゲームが始まった
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