狩物語

□07
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ふわりふわり



ゆらりゆらり




ゆっくりと沈んでいた意識が浮上してきて、閉じていた瞼をゆるゆると開く



腕をついて上半身を起こすと、体にかかっていたシーツがずるりと下がり、下半身辺りまでめくれる




窓からは明るい日差しが差し込み、明るい青色が広がっているのが見える





枕もとには、鼻提灯を膨らませてスピーッと寝転げるケロちゃん




「ん〜……」




腕を上にあげて、体をぐっとのばす





少し寝癖のついてしまった髪を撫でつけて、ベットから抜け出し、服を着る





顔を洗って髪を結って、体をほぐすように体の筋肉をゆっくり伸ばして準備運動をする




荷物も全て整理して、最後に寝ているケロちゃんのお腹をくすぐるように触った





「ケロちゃん。起きろ。もう朝だ。もう時間だ。
そろそろ起きなければ置いて行ってしまうぞ?」





「んえ?」





体を起こして、開けきれていない瞼をくしくしとこするケロちゃん




見た目がぬいぐるみなだけあって、その姿は大変愛くるしいものだった




「もう7時だ。あと一時間もしないうちに着くだろう。朝食を食べに行くついでに、この部屋も立ち去ろうと思う。


どうする?ぬいぐるみのふりをしておくか?」





「おー……」




細めた目はまだ眠そうで、あくびを漏らすケロちゃんに、
私は苦笑を漏らしながらポーチの外側についているポケットにそっと入れて部屋を出た











閑話休題____________










食堂で、手で掴めるサンドウィッチを3人前頼み、人気の少ない場所で
ようやく目を覚ましたケロちゃんと、影から出てきた忍ちゃんと朝食を済ませていると、飛行船のアナウンスが聞こえてきた





どうやら、もう第3次試験会場へと到着するようだ




私たちはパクリパクリとサンドウィッチを食べ終えて
忍ちゃんは再度影の中へ、ケロちゃんはポーチの外側のポケットへと入る





第3次試験会場は、高い円柱の塔の様になっていて、受験者達はそこのてっぺんに降ろされた





最初にお会いしたビーンズさんによれば、この場所の名前ばトリックタワー゙゙と呼ばれているそうだ




そして、肝心の合格の条件は
生きて下まで降りてくること



そして、制限時間は72時間と言うことを知らされた




さっそく試験が開始した後、私たち受験者は降りる方法を考えるべく動き回った




塔をロッククライムで降りようとした男性がいたけれど、彼は飛んできたモンスターによって食われてしまった




まず外壁から降りることは不可能であろう





なんて、考えながら歩いていると
ふと足元に違和感を覚えた




見てみるも、そこにあるのは何の変哲もない煉瓦上の床
しかし、微かに動くようになっているそれは、まるでカラクリの様になっていて
人ひとり入り込むことは可能だろうと理解ができた





何かの罠か、もしくは進むヒントかはわからないがとりあえず行こうと足を踏み出してするりと下へと降りて行った









閑話休題_______










足がスタリと地面に着く感覚に、暗い中で目を凝らしてみると
目の前には、壁に掛けられた白い板にハンター文字で何か掛かれている




その少し下には、3つのタイマーのついた腕輪の様なものが綺麗に並べられていた





「ここは戮力の間。君たち3人は、これからゴールまでの道のりを、共に向かわなければならない。
3人のうち誰か1人でも死ねば全員失格だ……。なるほど、つまり後の2人とゴールを果たせばいいわけだな」





ほほう。と頷いて腕輪を見つめていると、後ろの方から2つの音が聞こえてきた




振りかえれば、そこにはヒソカと、そして不気味な顔つきをした針男がいた





「やあスルガ♡」





「……」





「ああ、昨日ぶりだなヒソカ!それと、うーん……。すまないが名前を聞いていいだろうか。私はスルガだ」





カタカタとオモチャの様に振動をする針男にそういうと、彼はボイスチェンジャーを使ったような不気味な声で答えた





「……ギタラクル」





「ギタラクルだな。わかった。しかしその声辛くはないのか?
喉が壊れそうな声をしているけれど……」





そういうと、彼は一瞬固まりフラーッと視線を斜め横へと投げた




何も言うことのない彼に、私は首を傾げるも
すぐに気を取り直して2人の白い板の文字を読ませる





「ふ〜ん♣なるほどなるほど♦」





「……」




2人は大人しく腕輪を装着して、それを見かねた私も腕輪を装着すると
正方形の部屋だった一片の壁が、扉上に開き先へと進めるようになった





「なるほど、こういう仕組みなのだな。さすがトリックタワーというだけはある」





「スルガこういうの好きなの?♡」





「そうだな、わりと好きな方だ。まあ実際は読書や運動の方が好きなのだが」





そういって、2人と一緒に空いた扉へと入っていった
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