狩物語

□06
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ゆで卵を作った後3つのうちのゆで卵を1つだけ食べて残りはポーチに入れる


飛行船に乗り込み
ネテロ会長とビーンズから今後の説明があり
明日の朝8時までは自由にしていいとのことで、解散することになった





かく言う私は、メンチにシャワーを浴びたいとダメもとで相談をしてみれば、


特別に、と開いている部屋を貸してもらった





案内された部屋は、シャワーもついているしベッドもそなえつけられていた




感激に声を上げていると、メンチは私の方を軽く叩いて去っていってしまった





こうまでよくしてもらうというのは、気が引ける部分もあるのだが
折角よくしてもらっているのだ
有難く使わせて頂こう








閑話休題___









カチャリとシャワー室から出て、衣類を身につけないまま
ベッドのある方へと歩み寄り、そのまま腰かける





放り投げていた衣類とポーチを手繰り寄せて
卵と鍵を取り出した






「忍ちゃん。出ておいで」





小さく呟くと、私の後ろにある窓から差し込まれている月明かりによって生み出された影から



金髪の幼女が出てくる





「遅いぞお前様よ。待ちくたびれたわい」





「ははっ!それは申し訳ないが、試験が終わるまでしばらくこの状態だぞ?」





「ふん。それはわかっておる。


昨夜聞いたばかりじゃて。ただわしは思ったことを言ったまでじゃ」





「相変わらず手厳しいなー……」





腕を組みながら私の前に仁王立ちする彼女に苦笑を向けた





「してお前様よ。あの獣はださんでよいのか?



あまり待たせると後々うるさくなるぞ」




「あぁ。もちろん今から呼ぶさ」





コロン、と転がる卵の横で
月明かりに照らされている鍵を手に取る




「星の力を秘めし鍵よ。真の力を我の前に示せ。


契約の元スルガが命じる。



封印解除レリーズ!」





小さな鍵だったものは次第に形を変えて、私の体の半分ほどの杖になる




「我の前に姿を現せ。



ケロベロス」





大きな魔方陣が描かれ、その中心に出てきたのは
黄色いライオンのような姿に白い翼を生やした者




伏せられた瞼が、フルリと震えて開かれて
私を視界に入れると、カッと三角に吊り上った





「おっそいねん!!どんだけ待たされたとおもーとるや!



いくらなんでも杖に封印することないやろ!ゆーてくれたら仮の姿にもどーてぬいぐるみのふりするっちゅーねん!」




ガミガミと怒りながら後ろ脚二本で立つ彼は
正直、本当に封印の獣かと物申したくなるものがある




「それは申し訳なかった。次からそうするとしよう。



それよりも、ケロちゃん、忍ちゃん。上手に待てができた2人にご褒美があるのだ」





2人して、コテンと首をかしげる彼らに
傍に置いてあったゆで卵をスッと差し出す





「クモワシの卵。先程の二次試験のお題でな、お世辞を言うまでもなく絶品だった!



本当はユエにも食べさせてやりたかったのだけれど、彼は別の場所にいるからな。
申し訳ないが、帰ったら別のご褒美をやるつもりだ」





はいっ、と2人に渡して
説明すると嬉しそうに顔を緩める彼ら




忍ちゃんはニコニコと笑顔で私の隣に座り、ぺリぺリと卵の殻を剥きだした




ケロちゃんはというと、仮の姿に戻り
忍ちゃんが座った方とは逆の、私の隣に座って
卵の殻を取ろうとするも、大きさ的にも厳しいので
苦笑をして私が代わりに向いてあげる




二人して美味しそうに頬場る姿は、とても愛らしいものだった





「なんやこれー!めっちゃうまいやん!
市販のと全然ちゃうで―!!」




「うむ!これもなかなかいけるな!」




ハグハグと齧り付いている彼らに、おそらく喉を詰まらせるだろう、と
水を用意した後、
ベッドのシーツで体を軽く来るむ





「む?なんじゃお前様。寒いのか?」




「ほんまか?なんならわいが毛皮代わりになったるで!」




心配する彼らに大丈夫だ、と微笑んで
着ていた服を、バブルとウォーティに洗ってもらった





閑話休題___
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