狩物語

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走り出してから何時間経っただろうか


1時間か2時間か、はたまた10時間か



時計を持っていない私に知るすべはないが、そうとう走ったことだろう



しかしこれでも陸上部だった私


いまだに息切れをすることなく走り続けている



というかもう少しスピードを上げてもらっても全然行ける


むしろ行きたい




なんて一人モンモンと考えていると
スケボーに乗っている銀髪の少年が見える



皆さんお馴染み、主人公の親友となるキルアだ



猫目で愛らしい彼は控えめに言って天使だ




「やあ、こんにちは!」



ショタコンの私はとりあえず彼に話しかけた


何事も行動あるのみ、だ!



「ん?あれ。あんたさっきおじさんに缶投げつけてた人じゃん。

俺に何か用?」



「否、彼に投げつけたのではなく、彼の顔面スレスレに投げつけたのだ。


ああ、そうだな。君に少し興味があったんだ。
ハンター試験に少年少女が参加しているのは少し珍しいのではないかと思って」




「ふ〜ん……」




疑問、好奇心、不信感。それらの感情を瞳に移しながら私を見る少年



可愛い←




「一緒に走ってもかまわないだろうか?」



「別にいいけど……。あんたもっとスピード上げれんだろ?息切れもしてないし汗もかいてない。全然余裕じゃん。


俺と一緒に走ってたのしいわけ?」



「ははっ!面白いことを聞くな、少年。一人で走るより誰かと走る方がよっぽど楽しいさ!


まあもとより、ハンター試験に楽しさを求めるのもどうかと思うのだけれど」



ニコニコと
ご機嫌に話す私は、よほどアホに見える事だろう




「ふ〜ん。まあいいよ別に。俺はスケボーに乗ってるだけだし、あんたがいいならいいんじゃない?」



どうでもいいような声色で話す彼だが、その表情は照れ臭そうに頬を染めている




天使である←









_閑話休題_







「コラ待てガキィ!!」



「ん?」



「おや」



私たちだ軽く談笑をしながら進んでいると、すぐ斜め後ろから怒鳴り声が聞こえる



ああ、そういえばここで少年達が出会うのだったな




神シーンだったな←




「てめぇハンター試験舐めんじゃねえぞ!」




「なんのこと?」




怒鳴る男性、レオリオの視線は明らかに私ではなくキルアに向いている


とりあえず私は黙って観賞しよう




「なんだってそのスケボー!!反則だろう!!」




「なんで?」




「っ!
こりゃ持久走のテストなんだぞ!!」




「違うよ!」




「は!?」




怒る男性の声を煽るように、私たちの後ろから否定の言葉が飛んでくる



振り返ればそこには、何でもないような顔をして立っている
無重力ヘアーの少年、もといゴン少年が走っていた




「ゴン!てめぇ何言ってる!!」




「試験官はついて来いって言っただけだもんね」




「てめぇどっちの味方だ!あぁ!?」





声を荒げるレオリオ氏を無視するかのように、微かにスピードを下げてゴンの真横に行くキルア



天使が二人いらっしゃるではないか←


「ねぇ、君いくつ?」



「12歳」



何かを考えたようなキルアに不思議そうに笑顔を浮かべるゴン



するとキルアはスケボーを上に飛ばすと片手でキャッチして走り出した




「やっぱ俺も走ろーっと」



「おおぉ!かっこいい―!!」



「お見事!」



素晴らしいテクニックに私も思わず声を上げた




「俺キルア」



「俺はゴン!」




微笑ましい天使(少年)達のやり取りを微笑んでみているとゴンがこちらをじっと見つめてきた




「お姉さんのお名前は?」




「え、わ、私か?」




「あ、そーいや名前聞いてなかった。教えてよ」




「あ、うん。そうだな。自己紹介をするべきだったな」




まさか自分まで聞かれると思わなかったから思わず返答にドモってしまった




「私はスルガだ!特技は一瞬で服を脱ぎ捨てることだ」




「はあ!?何それマジで言ってんの!?あんた女だろ?!」




「本気とかいてマジだ!まあさすがの私でも人目のあるところでは


たまにしかない」




「たまにはあんのかよ!」





「そりゃあ銭湯や温泉……いや、ここは日本ではないから伝わらないか?



ジャポンの伝統的な風呂に行くときは脱ぐさ!

なにしろそこは他人と入ることもあるのでからな!」




「なんだそれ。ジャポンにそんな文化あんのかよ。ぜってぇ行きたくねぇ……」




「おや、なんてことを言うんだキルア少年!

温泉という伝統的な風呂は素晴らしものだぞ?


疲れは取れるし肌は綺麗になるし、場所によっては綺麗な景色を見ながら体の疲れを癒すこともできる。



それになにより、混浴なるものがあってな。
それに限っては男女関係なく入ることができるのだ!

あれに入れば先輩の肉体を余すことなく触れるのだ!!!」




握り拳を作って熱く語る私にキルアはおい、とツッコミを入れる。
なるほど、阿良々木先輩程とはいかずとも素晴らしいツッコミ能力だ




「ただの変態になってんぞ!」






「ははっ!
スルガさん面白いね!ねぇ、スルガって呼び捨てで呼んでもいいかな?」



「ああ、もちろん構わないぞ!ゴン少年!私も君たちを呼び捨てでも構わないだろうか?」




「もちろん!」




「ま、俺も呼び捨てで呼ぶし良いよ」




素直なゴンと素直じゃないキルア



なんて可愛らしいのだろう


ここは桃源郷か何かだろうか?




とりあえず生意気なキルアの頭は髪がぐしゃぐしゃになるまで撫でまわした



本人は嫌がるそぶりをしていたけれど、表情はどことなく柔らかかった




そしてそれを見たゴンが俺も俺もと強請ってくるのでわしゃわしゃと撫でてやると、こちらはキルアと正反対で
嬉しそうに頬を桃色に染めながら笑っていた





天使である←







閑話休題_
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