狩物語

□02
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チーン、と小気味の良い音を立てて着いたのは定食屋の真下
地下100階


ステーキ定食やアイスを美味しくいただいた私ははエレベーターの外へと足を運んだ



きょろきょろを辺りを見渡してみても、そこにいる人間はまだ100人も存在していなかった


しかしながらそこに存在している受験者が私にに向けた視線は鋭いもので
明らかに敵意があるのを読み取れる

全員とまではいかないが半数以上のものはここに集まる人間に鋭い視線を向けている



良い視線とは程遠いことに私がが
ふむ、と納得していると


足元から高めの声をした男性の声が聞こえた



「はい!番号札をどうぞ!」


「おや。これはこれは、ご丁寧にありがとう!」



視線を下に下げると、そこには私の腰ほどまでの身長の
緑の……こういってしまうと失礼なのだが、まるで豆のような見た目をした男性が立っていた



「いえいえ!これが私の仕事ですので!」


「ははっ!あなたは仕事熱心で素晴らしい人だな!真面目な人は嫌いじゃないぞ!」


「あ、ありがとうございます……」


私が笑いながら褒めるやいなや、彼は頬をかすかに赤らめて照れたようにはにかんだ


なんだこれは。なんだか可愛らしいな



「えっと、その番号札は必ず胸に着け紛失されませぬようよろしくお願い致します」


「ほう。なるほどなるほど。
これはいわゆる受験票の代わりのようなものか?

わかった!極力外さないようにしておこう!では!」



私はそう言って、豆のような男性から離れると
壁際に歩み寄り、壁を背もたれにしたまま座り込む



「ふむ。私の番号は77か…。
戦場ヶ原先輩の誕生日と同じだな」


番号札を胸に着けながら
ふと、阿良々木先輩や戦場ヶ原先輩

他にも仲の良かった人の事を思い出して



なんだか少し会いたくなってしまった


話したくなってしまった



けれどそれはもう出来ないのだろう


否、出来ないのだ



私は、彼らと共に生きていくことは不可能なのだ


叶わないのだ


だから私はここにいる


いつ死んでもおかしくないこの会場で試験を受けようとしている

でなければ今頃、同じ大学に通っている阿良々木先輩にでも会いに行って相手をしてもらっていただろう



しかしそれも、今となっては幸せな思い出にすぎないのだ




感情に浸った私は、試験開始まで仮眠をとることにした


もしかしたら、寝れなくなるかもしれないのだから



_閑話休題_
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