白執事

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仕事を終えて、時間は深夜




うとうとと、自身お部屋のベッドに座り込みながら首を揺らす少女




静かな時間が過ぎようとしている中、廊下に続く扉が、コンコン、とノック音を立てた




少女が眠そうに返事をすれば、扉が開かれ
セバスチャンが部屋へと入ってくる





「失礼します。



申し訳ありません。眠るところでしたか?」






「だい、じょーぶ……。慣れない、ことして……疲れただけ……。




それ、より。どうしたの……?」






そういえば、扉の前で立っていたセバスチャンは少女に近づいた





「……あなたが、ここでやっていけそうなのか。確認を」






そう言えば、眠そうに閉じそうだった瞼が、微かに開いてセバスチャンを見つめる





「ん……。今までと、全然ちがう……けど。



皆、いい人、だから……。




がんば、れる……と、思う……」





「思う、ですか……」






困ったように苦笑をしながら、少女を見つめ返すセバスチャン
その様子に、コテン、と首をかしげる少女を見て
セバスチャンは小さく首を横に振った







「いえ……。なんでもありません。





ただ……あなたは、なんだか不思議ですね」





「ふし、ぎ……?」






「ええ。不思議です。



あなたは、とても……」






そこまで言いかけて、セバスチャンは
シロの頭を撫でて、垂れる髪を一束すくい上げる






「いえ……やめておきましょう。



では。良い夢を……」





腰を低く折り曲げて、一束掬い上げた髪に口づけをすれば
静かに部屋から出ていく




その様子を、静かに少女は見つめれば
一度目を伏せて、カーテンも閉めていない窓から空を見つめる





「……」




静かに、微動だにせず、人形の様に
数十分空を見つめれば、少女はもう一度目を伏せて
コロン、とベッドに横たわる




放り出された手足を折り曲げて、シーツの上で丸くなる





「――――――」





小さく、小さく何かを呟いて
少女は夢の中へと落ちてゆく
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