星娘の核

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口々に、失礼だ、サラマンダー様は凄い魔道士だ、謝れ、と彼を責め立てる






少年からすれば、わけのわからない一方的な攻撃である





少女は慌てて少年に駆け寄り、組みついていた女たちを引き剥がし
尻もちをついたままの少年の盾になるよう前に立つ





「ちょっと!いくらなんでも一方的すぎ!貴方たちが憧れてたとしても、彼は違うんでしょ?!


確かに自己紹介無視するのもどうかと思うけど、自分の意見押し付けるのもおかしいんじゃない?!」





その言葉に女たちが怯むわけがなく、口々にまくし立てて彼女を責め立てる





「じゃあ何よ!自分の憧れの人無視されて、黙ってろって言うの?!」





「だいたい飛び込んできたのそこの男でしょ?!」





「失礼なことする方がおかしいのよ!!」






その言葉に、少女は一瞬怯んだように肩をすくめるが、すぐに眉をきりりと吊り上げて
少年と、その連れであろう青い猫を背に言い返す





「確かにそれはこの人が悪い!!でも、寄ってたかって1人対数名で痛めつけることないしょ?!
いくら相手が男の子だからって、痛いものは痛いのよ?!


もう大人なんだから、して良いこととダメなことの区別くらいつくはずよね?!」





口々にまくし立てる女たちに、噛みつくように言い返せば、
言葉が見つからないように、顎を引いて口を堅く結ぶ





睨みつけるように女たちを見つめていると
チャームを使っていた男が止めに入るように声を上げる





「まあまあ、その辺にしておきたまえ。彼とて、悪気があったわけじゃないんだからね。



彼女も、正義感がきっと強い人なのさ」




その言葉に、まくし立てていた女も、見ていた女も
目をハートにかえて、男に顔を向ける




いくらチャームの効果があったとしても、これは許したくない、と
男を睨みつけて、顔をフイッとそらした




男は、白い色紙にサインを描くと
私の後ろにいた少年にわたす





「僕のサインだ。友達に自慢すると良い」





「いらん」





うんざりとしたように、少年がそう言えば
またもや女たちは鬼の形相で少年に飛びかかる




コテンパンにボコボコにしようとする彼女たちを引きはがし、
先程と同じように少女は前に立つと、目の前の男と女たちを睨みつける




先程の口喧嘩を目の当たりにした女たちは、都合が悪くなったかのように視線をずらしていく





すると、男が気を取り直すように話し始める






「さて、僕、この先の港に用があるのでこれで」





とたんに、寂しそうに男を見つめる女たちに気をよくしたのか
男はパチンと指を鳴らし炎の魔法に乗って浮き上がる






「夜は、船でパーティーをやるよ!皆参加してね!」





そういうと、男はそのまま去っていった





「なんだあいつは……」





少年が戸惑ったように声を上げると、声をかける少女






「ホント。いけ好かないわよね」





隣に立っていた少女を、少年はじっと見上げた





「さっきはありがとね!」





笑いながらお礼を言う少女に、少年は訳が分からなかった




自分は助けた覚えはないし、どちらかと言えば自分が助けられた方なのだ





お礼を言われる意味が解らない、と




少年は、相棒の青い猫と顔を見合わせて首を傾げた
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