books(broken)
□私は貴方、貴方は彼女(寿々歌→崚行→朱里)
1ページ/1ページ
うちは貴方に恋をした。
一目惚れなんかじゃなくて、話したりとかしているうちに好きになったんや。
けど…
その恋心はあっという間に破れてしもた。
今日もまた、崚行は朱里の側に行く。
「よ、朱里」
崚行は、他の子には見せへんぐらいニコニコして朱里に話しかけて。
「や、崚行」
朱里はふわふわした笑顔を向ける。
「ね、崚行はよく私に声かけてくれるけど、なんでなの?」
そして朱里が少し真剣な表情をしながら、崚行に訪ねて。
「ん〜せやな、なんでやろ?」
って崚行が照れと恥ずかしさですっとぼけるまでがいつもの会話。
「も〜、崚行いっつもそう言うからさ、話が同じ繰り返しだよ〜」
なんて、朱里はふわふわと話しながら笑っている。
「あ、ホンマやな!これがデジャブってやつちゃう?」
崚行はケラケラ笑ってみせ、つられるように朱里も笑う。
あの二人は誰が見ても美男美女で、お似合いやって思う。
そう思っても、やっぱり苦しくなる。
悲しくなって、泣きそうになる。
でも、その気持ちを伝えられない。
…それは、結果がわかっているからやと思う。
私は貴方、貴方は彼女
(だからこそ、片思いだけでもしていたい)