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□私は貴方、貴方は彼女(寿々歌→崚行→朱里)
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うちは貴方に恋をした。

一目惚れなんかじゃなくて、話したりとかしているうちに好きになったんや。

けど…

その恋心はあっという間に破れてしもた。

今日もまた、崚行は朱里の側に行く。

「よ、朱里」

崚行は、他の子には見せへんぐらいニコニコして朱里に話しかけて。

「や、崚行」

朱里はふわふわした笑顔を向ける。

「ね、崚行はよく私に声かけてくれるけど、なんでなの?」

そして朱里が少し真剣な表情をしながら、崚行に訪ねて。

「ん〜せやな、なんでやろ?」

って崚行が照れと恥ずかしさですっとぼけるまでがいつもの会話。

「も〜、崚行いっつもそう言うからさ、話が同じ繰り返しだよ〜」

なんて、朱里はふわふわと話しながら笑っている。

「あ、ホンマやな!これがデジャブってやつちゃう?」

崚行はケラケラ笑ってみせ、つられるように朱里も笑う。

あの二人は誰が見ても美男美女で、お似合いやって思う。

そう思っても、やっぱり苦しくなる。

悲しくなって、泣きそうになる。

でも、その気持ちを伝えられない。

…それは、結果がわかっているからやと思う。


私は貴方、貴方は彼女
(だからこそ、片思いだけでもしていたい)

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