sleep

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※夢主はダイナーで働いてる一般人。ノクトたちとも仲良しですが、アーデンとは恋人同士な設定




「………アーデン、皆の前だよ」

「うん、分かってるよ。なにか、問題でもあった?」

「いや、ある…よね?」

腰にがっちりと回された腕に、お腹の前で組まれた無骨な指。背中にかかる少しの重みと頬に当たるふわふわと揺れる赤い毛。
そして、久しぶりの再開を喜ぶように、後ろからぎゅうぎゅうと抱き締められる名無しさんの目の前には、口をこれでもかと開けて固まる四人。そう、あの今をトキメク王子御一行だ。


「な…っ!アーデン!!何してんだ!!!」

「おい、帝国宰相!『俺たちの』名無しさんから離れろ」

「いい度胸じゃねぇか!この際、決着付けとくか?」

「名無しさん!今すぐ助けるからね!」

状況を理解した四人は怒りに任せアーデンに怒号を飛ばし、右手にはそれぞれ武器が握られていた。
勿論その切っ先や銃口は迷いなく全てアーデンに向けられている。


「あーあ、そんな物騒なもん出しちゃって。仕舞ってくれる?名無しさんに当たったらどうするの?」

あー怖い怖い。態とらしく呟きながら名無しさんの首筋に擦り寄るアーデンに、四人は再び声を荒げた。
イグニスに関しては怒りで言葉すら出ないようで、未だ尚名無しさんを抱き締めたままのアーデンを物凄い圧で睨み付けていた。それはもう、自らの眼鏡をもすら破壊できるのではないかというくらいの。

「はぁ…てゆうかさぁ。君たち勘違いしてない?『俺たちの』とか、『助ける』とか。言っとくけどさぁ、名無しさんと俺は恋人同士なの。わかる?恋人って。ね?名無しさん」

頬を赤く染め、それ以上言うなと腕の中でわたわたと慌てる恋人にアーデンは目を細め、込み上げる愛しさに身を任せて首筋に舌を這わせた。
数ヵ月ぶりに嗅ぐ彼女の匂いと、滑らかな肌から伝わる拍動が生々しくて、身震いしてしまいそうになる。

「きゃっ…!ちょっとアーデン!人前で止めてよ…!」

「あぁ、そうだよね。名無しさんは恥ずかしがりやさんだから、人前だとこういうのダメだもんねぇ。…でもさ、今は皆に君が俺のだって教えないといけないからさ。ちょっと我慢して?」

なにするの?そう口を開く前に顎ごと振り向かされ、後ろから覆うようにアーデンの唇が重なった。

「ん…っ、やぁ、ア…デ……んんっ」

ふにゃりと柔らかい感触を啄むように味わって、薄く開かれた隙間から舌を差し入れれば絡まる熱。
じゅっ、と態と音を立てるように吸い付いては絡め。溶けそうなくらいに熱くて、それだけで眩暈がしそうになる。

「あーあ、そんな蕩けた目しちゃって…。止まんなくなっちゃうよ…俺」

既に足に力が入らないのか、アーデンの膝にかかる体重が徐々に増えていく。最早名無しさんはアーデンの支え無しでは立てないだろう。


「アーデン!!!!!」

怒りを含んだ声が響き渡る。


あぁ、こりゃまずい。いろいろと。


名残惜しいが…



「夜に迎えに来るからね。…いい子に待っててね」


そう、まだまだこれから。こんな邪魔が入らないところで、二人ゆっくりと。愛をこの身に刻み込もう。






END


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