夢小説

□黒衣の儀式 (アカセカ / 護人)
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黒衣の儀式




五人の護人と巫女一人。
古今東西 魔術といったら何となく浮かぶ 六角星の 頂に各々立ち。
まさに今。
太陽を取り戻す儀式は行われていた。

厳かな雰囲気の中 ピタリと目をつむり 胸の前でてを組み
心内に宿る 祝詞が 口から紡がれていく。

太陽を、取り戻したい

強い想いが、形となって 発露しようとしたとき、

漆黒の男が 巫女を後ろから抱き締め 祝詞を奪った。

窮地の場面で幾度となく 結界をはり 巫女を護ってきた男は
機が熟すのを一人 淡々と待続けていた。

やがて 召喚されたのは アマツカミとは対照的な スサノヲノミコト。

「行くぞ、晴明」
その低く唸るような声と禍禍しい風貌に
誰もが 息を飲んだ。

「ええ...スサノヲノミコト」

数多の式神が 巫女や護人を襲う。

「ッ!」
「アカネさん!!」

巫女は 攻撃方法を持たない。
護人が周りを囲み 必死に式神を近付けないように 踏ん張るが
一足、前へ出ればその分 穴ができる。
そこに つけこまれ 一切り 肌を裂いた。


儀式台の外にいたもう一人の巫女は 肩にウサギを乗せ いち早く変事に気付き駆け寄ろうとした。

が。自分も 武器を持たない。
唇をかみ、晴明をにらんだ。

彼の男は いつか見せた無表情を少し氷解させながら 冷めた眼差しで 一足、二足と 近づいてくる。
背にぬるぬると蠢く影が 不気味。

「来ませんか 此方へ」

小さく微笑む姿は 脳裡の 以前の姿に重なる。
伸ばした手を 反射的に 掴みそうになった自分を 叱咤した。

「や、だ」

震える声は 何時もの彼女らしくなく。


やがて姿を消した 黒衣の男とスサノヲに
はりつめていた緊張が切れたのか 巫女は倒れた。
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