夢小説

□お久しぶりです 戦の国 (アカセカ/信長メイン)
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《小さなこと》

「飲め」
「やです」

「飲め」
「やです」

「飲むな」
「了解です」

「飲め」
「やです」

先ほどから ことあるごとに 繰り返されているやり取りだ。
綱吉と 国の話をして ふと一段落したとき、とか。
巫女を隣において
信長は はしゃいでいるように見える。


「食え」
「食べてます」

「...仲、いいんだな...?」

「まるで夫婦のようだ」

嫌味も込めてか、光秀が笑顔でそういった。

「夫婦か!夫婦に見えるそうだぞ!」

信長は繰り返して ふはははと笑った。

「酒を。今日は気分がいい。飲め」

「やです」

巫女は憮然としている。

「江の国は一夫多妻制でしたか」

「ん?あーと、そうだな。」

「妾は良いが間男は許さない、というのは どうなんでしょうか」

「ほう?どう、とは?」

巫女が 信長の猪口に 酒を注いだ。
「信長さんの書庫は立派でした。」

「うん」

「古事記から太平記から、様々な軍記物語が置いてあり 背を見るだけで 楽しくなります。」

「そうか」

「ですが、有るのは軍記物語ばかり。いつまで戦争をしているつもりで? 軍記物語は 戦が主。戦のあとは戦が起こる。だけど あなたの治世では まだ戦が起こるのですか? 」

信長は じっと巫女を見た。
巫女も負けじと 睨んでいる。

やがて 信長が目をそらした。

「生意気な女だ。」

「では 男は生意気ではありませんか。」

信長は答えなかった。
答えずに 酒をあおった。
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