夢小説

□お久しぶりです 戦の国 (アカセカ/信長メイン)
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《拒否です》

「...は?」

「いや、書庫整理はこの前したばかりだったな。軍師見習いだ。」

「は...え?嫌です。拒否です。客人がいやと言うんです。異論じゃないです。拒否です。信長でべそって言いふらしてやる!」

信長は 目をぱちぱちと瞬いて 下から睨んでくる目を覗いて
「う......ん」
と このおとこにしては珍しく 間抜けな声を出した。

光秀が飛びかからんばかりに 身を乗り出していて
半兵衛が はらはらしている。

「ではどうする...いや、半兵衛。」

「は。」

「3日、これを見習いとしてつける。 」

「...承知しました。」

「ところで、でべそとはなんだ?」

「......。」



《半兵衛の受難》

書庫で 本を探しながら 半兵衛は 巫女を見た。

興味深げに 並ぶ本を手にとっては ペラペラと ページを捲っている。
それだけでも なにやら 珍しいものを見るような心持ちがした。

半兵衛は 元は 信長と領地を争う斎藤氏の軍師だった。
斎藤氏が 義息子との内紛で滅び 、その息子を信長が倒したとき 半兵衛は 信長の家臣の秀吉の 部下となった。
「うつけ」で知られた信長の直臣になれば 自分がどうなるかわからないという思いであった。
初めて 秀吉の勧めで 信長と謁見した際、半兵衛は 今と同じ 心持ちがした。

「アサやさんは、本を読まれるのですか?」

少女は え?と目線を上げた。

「...あぁ、もしかして この国の女性は 本を読まないとか?」

自分の考えが知られているというのは人により不快な場合がある。
光秀は よく 不快になる。が、信長は 上機嫌になる。
ようは 腹に逸物、あるかないかとか、人間性などが関わっているように思う。

半兵衛の場合は 感心した。

「はい。本をーしかも軍記を読む女性は 生まれて初めてです。」

「私の世界では これが普通だったので...不快だったらすみません。」

「いえ、素敵なことだと思いますよ。」

光秀なら こうはいかないだろうな、と半兵衛は心のなかで思う。疑り深く、只でさえ 巫女に反感を抱いている。即刻 不審な動きあり と牢に入れられるかもしれない。官兵衛だったら?
官兵衛も 疑うだろうな。

あぁ、それで自分が お目付け役になったわけか。

しかし、と思う。
この聡さは 先程の 清明誘拐失敗論を却って強固にするだけであり、間違いの理由とはならない。
拙い策謀と 言われることもないはずだ。
半兵衛は 首をかしげた。


「ほんとに軍記物語ばかりでしたね」
廊下を歩きながら 巫女が話しかけてきた。

「源氏物語とか、読まないんです?」

笑い出しそうになった。
源氏物語とは 清少納言が書いた 宮廷恋愛の物語であり
男が読むものではない。
が、 目が合った一瞬 戦慄した。

「あぁ、居た居た。夕食の支度が整いましたよ!」

蘭丸の声に さりげなく 逸らしたものの、あの目は。

「有難う、蘭丸さん」

「旅では あまり 腕を振るえませんでしたから!今日はたっぷり食べてくださいね!」

「いや、毎回美味しくいただいてましたよ。」

「そうですか?アザやさん、あまり食べてなかったような気がしますが...」

「たくさん食べる人がいっぱいいたからそう見えたんでしょう...アカネさんとかも 女性のわりに結構食べるし。」

「ああ、あれは 最初驚きました...」
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