短編置き場

□熱が伝わる
1ページ/3ページ

理佐side




放課後、ファストフード店で愛佳と話していると、突然降り出した雨。



「うわ…理佐、傘持ってきた?」
『今日に限って無い』
「私も。」



弱くなる気配も無いのでこの店から近い愛佳の家にいくことにした。
いや、まぁ私の家もほとんど変わらない距離なんだけどね。

いざ店から出ると、雨は意外と強くて…



『本当に今いくの?もうちょっと待ってみようよ』
「大丈夫大丈夫。こうやってやればいけるって」



持っていたかばんを頭の上に乗せて子供のように笑う愛佳。

これ、絶対楽しんでるな…。



『あ、ちょっとまって!』
「理佐ー、はやくー!」



私を置いて雨の中に走り出した愛佳。
もう濡れるのは諦めてその後を追った。






・・・・・・・・・・






玄関に入って、切らした息を整える。



「はぁー、つかれた」
『もう、愛佳早いよ』
「…理佐」
『なに?』



愛佳は私の胸辺りに視線を落としていて。
濡れたせいで下着が少し透けていた。



『ねぇ、どこみてんの。』
「しょうがないじゃん…。これ羽織っといて」
『…ありがと』



愛佳は部活終わりでジャージのままだったから、その上着を貸してくれた。
リビングから愛佳のお母さんが顔を覗かせ、びしょびしょな私達を見て、お風呂を勧めてくれた。



愛佳母「あ、でももうすぐお父さん帰ってきちゃうんだった。入るなら一緒に入っちゃいなさい。」
『え、2人で?』
愛佳母「なーに。理佐ちゃん恥ずかしいの?昔はよく一緒に入ってたじゃない」



そりゃ、恥ずかしい。
いくら幼馴染だからって、一緒にお風呂なんて久しぶりで。
愛佳も恥ずかしいだろうと思って、どうせ近い距離なんだから家に帰るか。と愛佳のお母さんにお礼を言って去ろうとすると、愛佳に腕をつかまれた



「まって理佐。一緒に入ろうよ」
『え?』
「理佐の家今日誰もいないんでしょ?そのまま泊まっていきなよ」
『…うん、わかった。ありがとう』



愛佳はちょっとだけ意地悪な笑みを浮かべていて。
絶対なんか良くないこと考えてるってわかって嫌な予感しかしなかったけど、腕をつかむ力が強くて、いや。とは言えなかった。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ