短編置き場

□どんな味?
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愛佳side





なにか楽しい夢を見ていたような気がして、ぎりぎりまで夢の中にいたかったけれど、お腹に重みを感じて目を覚ました。

寝起きのぼんやりとした視界の中、私のお腹を枕にして寝ていたのは



『理佐?』



そう、理佐。
あれ、なんでだ。
仕事終わって、疲れていたから寝ちゃったんだっけたしか。
今日は私1人で帰ってきたはず。


可愛い寝顔を見ていたい欲もあるけど、なんで理佐が私の部屋にいるのかが謎。
いや、付き合ってるから全然いいんだけど。

…とりあえず起こしてみるか。



『おーい。りっちゃーん。』

「ん…。」



名前を呼びながらほっぺをつんつんするけど、なかなか起きない。


…って、あれ?


私のTシャツが少しめくれてて。
その先には赤い跡があった。



『理佐!起きてっ!』

「んー、愛佳。。」

『やっと起きたー。ってかなんでここにいるの?』

「…なんか今日、愛佳つかれてそうだったから…部屋いくの我慢してたんだけど…きちゃった。」



理佐はまだ眠いのか、目をこすりながら小さい声で話した。


可愛い。かわいすぎるんですけど、私の彼女。
いつも素直じゃないのに、寝起きだからか素直に話してくれたよ。
本当に可愛いです。


でもさ…、



『あ、あのさ…、これ、なに?』



先ほど見つけた赤い跡を指差すと、理佐の顔がみるみるうちに赤くなった。
言いたくないのか、口を固く結んでいる。
いや、待って。
ただの虫刺されの可能性も。。



『あ、ごめん。私の気のせい…。』

「違う。私がやったの。」

『え?やっぱり?』



理佐はこくんと頷いた。



「部屋入ったら愛佳が寝てて。服がめくれてお腹見えてたの。」



え、なんか恥ずかしい。
けど、目の前で顔を赤らめている理佐がかわいすぎて、もうはなさないでいい!なんていえなかった。



『…それで?』

「その…、なんかさ…美味しそう…だったから…。」



ん?美味しそう?
え、待って。そういうこと?



『ぷっ!はははっ!!美味しそうだったの?面白すぎるっ!!』

「ねぇ、笑わないで。」

『うわー、すごいこんなに噛んだの?』



お腹をみると、いくつか跡があった。



「もー、うるさい。ごめんってば。」

『いやいや、いいよ。りっちゃんかわいすぎ。こっちおいで?』

「ん。…わっ!」



こっちにずれようと起き上がった理佐を引っ張って、そのまま上に跨った。

やられてばっかじゃ…ねぇ?



「愛佳、待って…!」

『なんで?理佐、寂しかったんでしょ?』

「…っ…!」



少しにらんでくる理佐に軽く口付ける。
離れる瞬間、理佐の唇を舐めると、お菓子とかそういうのとは違った甘い味がした。



『私にやった分、ちゃんとやり返すからね?』



そういって顔を近づけると、
いつもより素直な理佐は、静かに目を閉じた。
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