1st(第1〜5部)

□第一部(7〜8章)
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第一部『第七章』





ケント様は頷いてくれた。
私達は食事をしてから一回部屋に戻った。
ケント様は部屋の窓を開けた。
ケント様は大きくなり、18歳の姿に戻った。
ケント様は私を見た。


「行こうか。」


私は頷いた。





外に出ると星がとってもキレイだった。
人は全くいなくて里は静かだった。
私とケント様は並んで夜道を歩いていた。
ケント様はしばらく歩いて言った。


「ミクア、聞きたい事って何だ・・・??

「それが・・・あの・・・。」


私達は丁度『終わりのない川』が見える所まで来ていた。
ケント様は橋の向こう側を目を細めて見ていた。


「あれは・・・。」


私達は橋まで来た。
向こう側にはケント様の石像が月の光と川の水の光を受けて輝いていた。
私はケント様を見上げた。


「ケント様・・・。
ゴーストの女の人も、ライトさんも、里長も言っていました。
ケント様がこの里の、この世の英雄だって一体どういう意味なんですか??
ここ一年間、私はずっとケント様と一緒にいました・・・。
なぜ・・・なぜ・・・話してくれなかったんですか。」


ケント様は橋の上で立ち止まり、じっと私を見つめた。
私は息を飲んだ。
何てキレイなケント様の目・・・。
ケント様がため息をついた。


「人間界の住人も魔法界の住人も皆、オレの事を英雄と呼ぶ・・・。
話は長くなるが・・・??」


私は頷いた。
ケント様がこんな不思議なくらい悲しそうな表情をしているのを見たのは初めてだった。
ケント様はかがみ込んで私の首にかけてあるペンダントを外した。
ケント様はペンダントを振りながら言った。


「ミクア・・・このペンダントとこの里には一体どんな関係があるのか・・・もう既に知っているんだろ・・・??」
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