1st(第6〜7部)
□第七部(86章+エンディング)
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第七部『第八十六章』
「多分、二つの国はこれから先、戦争しないと思うよ。」
ティアンはそう言うと、私の服の裾を引っ張った。
「自分の幸せを願うんじゃなくて、みんなの幸せを願うなんて、偉いね。」
キレイな顔に満面の笑みを浮かべて、ティアンは言った。
「『星のしずく』を集めたのがミクアで良かった。」
たまたま、『願い事』を叶える権利が私のものになっただけなのに・・・。
集めたのは黒魔道士だし、守ってきたのはケント様なのに。
私は顔を赤くした。
「私・・・・・・。」
「あのね、ミクア。」
私の言葉を遮って、ティアンは言った。
「『星のしずく』で願い事を叶えたら、また『星のしずく』はバラバラになっちゃうんだけど、知ってる??」
「うん。」
さっき、お兄さんが言ってた。
願い事を叶えたら、またバラバラに世界中に散っちゃうって。
「ミクアに一つ、あげるよ。持ってて欲しいんだ。」
「え・・・??」
『星のしずく』を渡されて、私は目を見開いた。
ティアンは薄紫色の大きな目を細めて笑った。
「大切に持っててよね。
首からかけとくとかしてさ♪」
「どうしよう・・・お兄ちゃん。」
私はケント様を見た。
ケント様は私の手から『星のしずく』を取ると、私の首にかけてくれた。
「ミクアが持っているように、そいつが言うんだから。」
「うん♪」
お兄ちゃんはやっぱりカッコイイ。
私は嬉しくなって、首からかけてもらった『星のしずく』のペンダントに触れた。