1st(第6〜7部)
□第七部(86章+エンディング)
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第七部『第八十六章』
「私・・・どうしよう・・・??」
願い事と言われても、思いつかない。
私はお兄ちゃんの事を思い出せたから、充分なのに・・・。
「条件を言っておくね。」
「え・・・??」
突然、ティアンが口を開き、私はビックリした。
『条件』・・・??
「叶えられるのはね、『現在』に関する願いだけなんだ。」
意味が分からなくて、私は首を傾げた。
「どういう意味なの??」
「例えば、『未来』に関する願いは、『これから先、ずっと幸せに暮らせますように』っていうようなやつ。
『過去』に関する願いなら・・・『死んじゃった人を生き返らせる』みたいなやつだよ。」
なんだ・・・お父さんとお母さんを生き返らせるのも良いかなって思ってたのに・・・。
『現在』に関する願いなんて、思いつかないよね・・・。
私はケント様を振り返った。
「お兄ちゃん・・・??
どんな願いをしても、怒らない・・・??
私、なかなか思い浮かばないの。」
「ミクアが良いと思うなら。」
ケント様の答えに、私はニッコリした。
やっぱり、お兄ちゃんは優しい。
私は軽く目を閉じて、これまでの一年間を振り返った。
私は幸せになれた。
だから、願い事は他の・・・困っている人達に使うべきだ。
「私、決めた。良い??」
私はティアンを見下ろした。
ティアンは頷いた。
「じゃあ、言ってよ、ミクア。」