1st(第6〜7部)

□第六部(60〜61章)
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第六部『第六十章』





「そうですか・・・。あの、この子は??」


私は膝を舐め続けているひょうを見た。
どうでもいいけど、くすぐったい・・・!!
リリカさんが言った。


「ミクアちゃんが拾ったのよ。
『動物さん』って呼んでたわ。
随分利口よ。」


その言葉に反応してひょうは顔を上げた。
血はもう止まっていた。
ひょうは離れた所で立っているケント様を見た。
ケント様も私のすぐ傍のひょうを見た。
ひょうとケント様は数秒間睨み合っていた。
あの・・・一体どうしたって言うの・・・!?
突然、ひょうはプイッと顔を背けると、私を見上げて来た。
ひょうは赤い色の目を輝かせると、地面に置いた私の片手をそっと舐めた。


「わぁっ!!」


くすぐったくて私が声を上げると、リリカさんが笑った。


「あぁ、そういえばその子、ミクアちゃんに凄く懐いているのよ。
ケントとはいまいちだけど。」


ひょうは顔を上げると、かすかに頷いた。


「人の言葉が分かるんですか??」


私は尋ねた。
リリカさんはニヤリとした。


「言ったでしょう??利口だって。」


ひょうは急に私の腕の中へ飛び込んで来ると、私の顔を舐めて来た。
私はくすぐったくて、その場でバタバタとはしゃいだ。
やっとひょうは私から離れると、挑戦的な態度でケント様を見た。
ケント様はひょうを睨むと、ふと私を見た。


「大丈夫か、ミクア。」

「はい、ケント様っ!!」


私は慌てて立ち上がった。
リリカさんは私を小突いてひょうを指差した。


「ミクアちゃん。その子に名前を付けてあげなさいよ。
『動物さん』じゃないやつ。」

「あ、そうですね♪」


私は頷いた。
確かに『動物さん』なんてかわいそう。
何がいいかな・・・。
リリカさんが言った。


「『チョコ』ってのはどうかしら。
黒ひょうだけど。」

「はい♪♪」


私はリリカさんの考えた名前に感心した。
何だかぴったりな名前じゃない!!
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