1st(第6〜7部)

□第七部(76〜77章)
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第七部『第七十六章』





遠くで、リリカさんとお兄さん、そしてケント様が私の名前を呼んでいる・・・。
でも、濃い霧のせいで、何処にいるのか分からない。
私の体は強風によって、息が出来ないくらい速いスピードで飛ばされていた。
さっきの悲鳴は、この風が原因だったんだ・・・。
やけに冷静にそんな事を考えているうちに、強風はだんだん収まって来た。
落ちる・・・・・・。
私は諦めて、一人で笑った。
地面はどれくらい下にあるんだろう・・・。


「っ!!??」


下に落ちると言うより、寧ろ、私は体が上に浮いて行っている事に気付いた。
ふと、アンドロイドの言葉を思い出した。
確か・・・「バイクや箒から離れると、体が浮く」って言ってたっけ・・・。
じゃぁ、上に行ったらどうなるんだろう・・・??


「そっか・・・、そのままなんだ・・・。
上へ行ったら、下へ戻れないから・・・。」


頂点に着いたら、そこでそのまま。
死んじゃうって事。
私は片腕を両目に押し当てた。
こうなるなんて・・・・・・。
その時、突然、【カツン】と両目に押し当てた片腕に何かが当たった。


「何・・・・・・??」


私は腕で、ゴシゴシと目を擦ると、さっき腕に当たった物体を手探りで探した。
真っ白な霧のせいで、目を開けていても見えなかったのだ。


「あった・・・・・・。」


やっと見つけた物体は、ゴツゴツしていて、硬い物だった。
何なの・・・??
私は掴んでいた物をよく見ようと、グイっと引っ張った。
これって・・・・・・。
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