1st(第6〜7部)

□第六部(72〜73章)
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第六部『第七十二章』





―『レイストVSケント達』―

「おや。」

「お前・・・・・・。」


廊下の曲がり角でバッタリと出くわして、ケントもルーストも眉をひそめた。
ケントはルーストを睨んだ。


「まだこんな所にいたのか。
ミクアは・・・・・・。」

「まだ帰って来ないんだ。
こうなったら、迎えに行こうと思ってね。」


自分よりも、やや背の高いケントを見てルーストが言った。


「君こそ、どうして此処に??
抜け出せたのかい??」

「・・・・・・チェイリーが来てくれたんだ。」


ケントは静かに言った。
ルーストはケントを上から下まで眺めた。


「でも、君は本当の姿になってしまっていただろう。
昼間の子供の姿と違うから、牢番の子は驚かなかったのかい??
それに、その格好・・・・・・。
夜、会うたびに言おうとは思っていたんだけど、そろそろ着替えた方がいいんじゃないかい??」

「・・・・・・着替えられる訳がないだろう。
オレだって、好きでこんな服を着ている訳じゃない。」


ケントは顔をしかめた。
ダンスパーティーの夜、リリカに無理やり着せられたせいで、牢屋で着替えられる訳がなく、今のケントは派手な青い軍服の様な物を着ていた。
ミクア曰く、「王子様みたい」だが、滅多にないほど美しい整った顔立ちのケントなら、確かに何処かの国の王子だと言われても、おかしくはない。
もっとも、ルーストもかなり端正な顔立ちであるが。


「まぁ、それはおいといて。
君、リリカさんのいる部屋を、どうやら素通りしたみたいだね。」


ルーストはそう言うと、ケントが走って来た道を、早足で歩き出した。


「君よりも、オレの方が城の中は詳しいよ。
オレについて来るかどうかは・・・君の自由だ。」
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