部誌参加小説

□〜Bravery To Fry〜5
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5、飛ぶための勇気




『これは貴女達の1つの運命。』

・・・誰?

『お願い、全ては貴女にかかってる。』

・・・私に?

『愁達を助けて!』

・・・え?

『私は何もできなかった!知ってたのに!』

・・・どうすれば良いの?

『お願い、勇気を出して。』

・・・勇気?

『貴女にしか出来ない事。』

・・・私にしか・・・。

『お願い・・・。』

・・・ねぇ、貴女は誰?

『私は、音羽。愁達の友達。』










「月奈?月奈?」


その声にふと目が覚めた。


「もうすぐ昼食よ。昨日は緊張で眠れなかった?」


その声はスチュワーデスの先輩のものだった。


(そうだ、私は始めてのフライトで、今、飛行機の中なんだ。)


夢の内容が壮絶すぎて、今の状況を思い出せなかった。
ハイジャックされて、その犯人と戦って、捕まって・・・撃った。

ぞくり

その感触が手に生々しく残っていて、鳥肌がたった。
あの時のカラフルの憎しみに満ちた顔も。


「月奈、大丈夫?」


先輩が心配そうに月奈の顔を覗き込んだ。


「あ・・・はい、大丈夫です。」


月奈は我に返り、慌てて微笑んだ。


「そう?無理しないでね。初のフライトなんだから。」


先輩は微笑み、仕事へと戻っていった。
それにしても、あのリアル過ぎる夢は一体何だったんだろうか。
目覚めた今でも、細部まで鮮明に思い出せる。
そして、飛行機が爆発した後見た、病室の光景は一体・・・?
そして、最後の女の子。確か、音羽と言った。
一体・・・何?


「Are you OK?」


リサ・カークランド先輩の声。
あれ?夢と同じ?


「Yes.」


月奈は微笑み、答える。
リサも1つ頷き、微笑んだ。


「You must not forget this smile.」


そして、つんっ、と月奈の頬を軽く突っついた。


「・・・・Thank you・・・.」


初のフライトで緊張していた気が少し楽になった。
やっぱり、ベテランは違う。


「ガンバリマショウ。」


リサが外国人独特の発音でそう言ってくれた。


「はい!」


月奈は頷く。
もうすぐ、昼食だ・・・。
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