「ベル…」


「何？」


「あんた…あたしが楽しみにしてたクッキー食べたわね…」


「へぇ、あれお前のだったんだ。棚の奥にあったから食べていいものだと思った」


「ベルに喰われまいと思って隠してたのに…」


「なくなったもんはしょうがないね」


「確かにしょうがないよ？けどさ、“ごめん”の一言も言えないの？」


「なんで俺が謝らないといけないわけ？わけわかんない」


「だってベルは勝手にあたしのクッキー食べたんだよ？悪いと思ってないの？」


「名前書いてなかったから誰のかわかんなかったし。食べられたくないなら、これからは名前書くんだね」


「っ…この前髪ぱっつんワガママ王子が!!!一言謝ればいいことでしょ！？」


「やだね、俺謝んないよ。だって王子だもん」


「王子だもんで世の中済むと思ったら大間違い！そのうち痛い目見るからね！！」


「へぇ。俺痛い目見たことないから楽しみにしてる」


「食べ物の恨みは海よりも深いんだから…」







後日。



「ねぇ、俺のアイス知らない？」


「へぇ、あれベルのだったんだ。名前書いてなかったから食べちゃった」


「はぁ？何勝手に食べてんの？ふざけてんの？」


「ベルだってあたしのクッキー食べたじゃない。お互い様」


「クッキーとアイス一緒にすんなよ」


「あたしからしたら一緒なの。食べられたくないなら名前書けばいーのっ」


「……覚えてろよ」







更に後日。



「ベルっ！あたしのチョコ食べたでしょ！！」


「名前書いてなかったし、てっきりマーモンのだと思ったよ」


「名前書いてあったわよ！箱の裏に！！」


「そんなの気付くわけないじゃん。でっかく目立つように書けばいいのに」


「うぅっ………覚えてなさいよ…」







また更に後日。



「もしかして俺のビスケット食べた？」


「ビスケットは食べたけど、あれベルのだったの？」


「思いっきり名前書いたんだけど」


「ふーん。全然気付かなかったなぁ」


「何その白々しい言い方。うぜー…」







またまた更に後日。



「ベルあたしのポテチ食べたでしょ！！」



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