2bro

□今出来ることを
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2人に泣かれてしまった後も兄者さんは色んな話をしてくれた。弟者さんは泣き疲れ、どうしても僕のそばを離れるのを嫌がり膝枕をしている。おついちがいなくなってからろくに眠れていなかったらしく、スヤスヤと眠る姿は子供のようで不思議と母性本能が芽生え始めている(気がする)。


先ほどの情報以外では、どうやらこちらの世界のおついちはある研究をしていた。それがパラレルワールドというある現実世界と並行して存在する別の世界のことだ。これはゲームでもそういったものがあるのでよく知っている。


実際、何らかの理由でパラレルワールドに入り込んだと言う事例もあるくらいだ。
僕がそれに当てはまるとしたら、何らかの影響もしくは、誰かが意図的に連れてこられたと言うことを意味している。そのパラレルワールドを研究していたこちらのおついちが連れてきたと言うのだろうか?


兄者さんが知っているのはそれぐらいらしく、このことについておついちが気になることを言っていたのだと言う。


『ねぇ‥‥兄者・・・。』

『ん?どしたよ?』

『もしさ・・・もしだよ?平和なパラレルワールドが存在していたとして、そこで暮らせたらいいのにって思わない?』

『まぁ・・・そんなことが出来ればな。だが、そこにも別の俺らがいるんだろ?交換するわけにも、その世界に2つと存在してちゃいけねぇだろ。』

『・・・・・そ、そうだけど!もしもの話だよ!』

『俺は今でも平和で幸せなんだぜ?』

『え?こ、こんな世界なのに?こんな毎日のように殺し合いが起きてるのに?』

『それでも、俺には2人がいる。おっつんと弟者がな。確かにこんなクソみたいな世界でもさ。目の前に仲間がいるという幸せが確かにある。』

『‥‥‥‥っ!』

『なぁ?そう思わねぇか?こんな世界にも幸せがあるんだぜ?俺らは十分恵まれてると思うんだけどな。』

『・・・・ふふふっ。そうね・・・・兄者の言う通りかも。』

『おっつんは気を張りすぎなんだよ。俺も弟者もいるだろ?』

『うん。ありがとう兄者。』

『おう。なんかあれば相談しろよ。』


だが、兄者さんはあの時まだおついちの顔が晴れていないことが分かっていた。彼は何よりも平和を願い、2人のことをいつも気にし心配していた。それを2人は気づいていたけれど、それを言うと彼は隠そうとする傾向があった。そのため何も言えなかったらしい。


やがて行方不明となり、とうとう貯まっていたものが爆発したのではないかと思ったようだ。まだ何かを隠し、自分を犠牲にして何かをしようとしているのではと。
そうだとしたら、早くおついちを探し出さなければならない『善は急げだ』と兄者さんは自室に戻っていった。
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