ユメヲミル
□アイネクライネ
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ナナシside
急に泣き出したと思えば、私のウエストに抱きついて顔を埋めて、何かをぶつぶつ言っている。
「え?なに?聞こえないよ?」
「‥石ころ‥」
「え?」
「石ころにでもなりたい‥」
え?!石ころ?!104期の中で一番おっきなベルトルトが?!
「ど。どうして石ころなの?」
「喜びも、悲しみも辛い事だってなくなるだろう?それに、ナナシを傷つけなくてすむ‥」
そう言ってベルトルトは顔をあげた。
彼の瞳はウサギみたいに真っ赤になっていた。
あ。あの事で‥‥
私はベルトルトの頭を母親が子供をあやすように撫でた。
「ベルトルト‥ベルトルトが石ころにでもなっちゃったら、私悲しくてどうしようもないよ‥生まれてきた時からずっと貴方を探してきて‥やっと見つけたのに‥」
「ナナシ‥」
「それに‥ベルトルトがいたからこんな残酷な世界でも前向いて生きてこれてるんだよ?ベルトルトと笑える日々がどんなに嬉しいか‥‥」
私もベルトルトにつられて泣いていた。
「ベルトルト‥」