さよならの花束を君に (完)
□隠された真実
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この前の任務で負った怪我がようやく完治した頃、私はメフィストから呼び出されていた。
「1日早いけど誕生日おめでとう!」
部屋に入った途端鳴らされたクラッカーの紙が顔にかかり、ぺっと払い除ける。そう、明日の7月20日は私の18歳の誕生日だった。当日は放課後に塾生みんなでの任務があるため、前倒しでお祝いしてくれているのだ。
「嬉しいんだけど、クラッカーは人に向けないでね。」
「これは失礼☆」
テーブルには小さめの丸いケーキが用意されており、2人で切り分けて食べる。苺がこれでもかと使われたケーキはメフィストの特注である。
「今年の誕生日プレゼントはこれにしました☆きっと今のあなたにぴったりかと。」
渡された手の平サイズの箱を開けると、中からはプラチナの指輪が出てきた。
「さすがにプロポーズは・・・」
「違いますよ!よく見てください!」
そう言われてよくよく見ると、見慣れない文字が内側にびっしりと刻まれている。
「・・・・・呪詛?」
「魔除けのルーンを刻んだんです!近頃下級悪魔が寄ってくると聞いたので、それをつけていれば軽減できるかと。」
さり気なく左手を取って、薬指にはめようとするのを阻止すると、妥協で右手の薬指にはめられた。指輪には紫の小さな石がはめ込まれている。
「この石って・・・・・?」
「アメジストですよ。悪魔に関するものを祓う力があるらしいです。」
私のことを思って作られた贈り物に、胸があったかくなる。ありがとうと伝えると、保護者として当然だと言われた。
「ところで血液検査の結果ってどうなったの?」
「あれですか。ぶっちゃけると日本のあらゆる研究者でも解明できませんでした☆なので、秘密裏にバチカンの医工騎士に送って調べてもらっています。」
そんなに不思議な現象なのか。確かにあらゆる文献を読んでも、呼ぼうとしていないのに悪魔が寄るという記録は無かった。あったとしても、本人が悪魔堕ちしていたり、取り憑かれているかのどちらかだった。
「ちょっと気になったから聞いてみたんだけど、これがあるから何とかなりそう!」
「効果が弱まったり、万が一指輪が割れることがあったらすぐに言ってくださいね☆」
予備がたくさんあるので、と言われいったい何個作ったのか値段的な意味で不安になった。