さよならの花束を君に (完)

□山中の守護神 ※選択
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『先生方がじゃんけんで決めた結果、零さんは湯ノ川先生に付いてもらうことになったので、準備しておいてください。』

と連絡があったため、私は勝呂くん三輪くんと多摩川の河川敷に来ていた。それなりのサイズの石でないとバリヨンは取り憑かないため、上流の山へ来ている。

「バリヨンは夜になると人の背中に飛び乗る性質がある。なので、夜間に採取をする。」
「つまり、どっちかが背負われる側で、もう1人がバリヨンを封印してこっちの荷台に乗せてね。」

こんな重労働は燐の方が適任だったのでは?とも思うが、くじの結果らしいので仕方ない。時刻は昼過ぎなのでまず拠点を確保してから、バリヨン探しに向かうことになる。

「それじゃあ魔除けの陣は零先生に聞いて、2人で描くように。私はこの辺りにいる悪魔の様子を探ってくる。」

森の中に湯ノ川先生が消えていくと、私は石灰を取り出し指示を出していく。勝呂くんも三輪くんも完成図が頭に入っているため、あっという間に描き終わった。

「こんなもんでええやろか?」
「・・・・・うん、完璧だよ。お疲れ様!」

続いてテントを3張組み立てて、火を起こすことにした。私はテントを張り慣れているため、すぐに完成した。が、手慣れていない2人は悪戦苦闘していた。

「なんや零さんもう終わったんですか?早いですね。」
「野営は慣れてるからね。コツさえ掴めば簡単だから。」

羽織っていたコートを脱ぐと、完成したテントの中に放り投げ、薪を組んで火を起こした。ようやく2人がテントを張り終わった頃、湯ノ川先生が戻ってきた。

「下級の悪魔しかいなかったから大丈夫だ。夕飯を食べてから向かおう。」
「・・・・・で、夕飯作成要員で私ですか。」

渡されたカレーセットを見て、このために呼ばれたのだと気づく。女なら料理が出来ると思われてるのも癪だが、自炊に困らない程度には作れないこともない。

「俺らも手伝おか?」
「そうしてくれると助かる・・・・・」

勝呂くんと三輪くんもぎこちないながらも手伝ってくれて、とりあえずカレーは出来た。湯ノ川先生曰く「可もなく不可もなく」といった味だった。

「それじゃあ今から2人には、約3時間バリヨンを探して貰う。やり方は簡単で、1人がうろうろして、背中にバリヨンが乗ったらもう1人がこのお札を貼る。簡単だろ。」

湯ノ川先生の適当な説明に2人ともよく分かってないようだが、実際に体験した方が早いと送り出されてしまった。
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