さよならの花束を君に (完)

□深海の悪魔 ※選択
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『先生方がじゃんけんで決めた結果、零さんは椿先生と行くことになったので、準備をしておいてください。』

と連絡があって、私は燐や志摩くん、出雲ちゃんと共に椿先生と海岸沿いにある山の川へ来ていた。

「それじゃあ候補生のみんなは川底に生えてる薬草を採取してください。」
「えぇ!?こんな汚い中に入るの?」

大きな籠を背負わされ、燐、出雲ちゃん、志摩くんと次々泥で濁った川の中へ入っていく。その間椿先生は海の家へ先に行くらしく、残された私がみんなの監督をすることになった。

「なぁー零は入らないのかよー」
「私はみんなを応援するだけだからね。」
『燐ー!がんばれー!』

橋桁に腰掛け、大きめの日傘をさして黒猫のクロとみんなの様子を見守る。この薬草は蓮と同じで、汚い泥の中で育つがとても綺麗な草である。表面のまだ綺麗な水で泥を軽く落とすと籠に入れていく。三人分の籠がいっぱいになったところで、ようやく終了になった。

「うん、おつかれさまー。」
「あかんわ・・・・・めっちゃ泥だらけやん。どこか綺麗な水で洗い流したいわ・・・・・。」

確かにという3人には悪いが、こんな山中にシャワーはもとい水道はない。

「たぶん海の家方面まで下らないと水道はないや・・・・・」
「「「えぇー!?」」」

本当は水を出す手段はあるのだが、これも彼らの初任務であることを考えてあえて言わないでおいた。用意してあった台車に籠を載せると、海までの緩やかな下り坂をみんなで降りていった。

椿先生の奥さんの実家が経営しているという海の家の民宿まで来ると、3人は一目散にお風呂へと向かった。アロハシャツを着た椿先生に薬草の籠を渡すと、今日の任務はこれで終わりだと告げられた。明日から海の家の手伝いをするらしいが、交代で海で遊んでいいと言われた。

「・・・・・って私も海の家の手伝いを?」
「女の子がいた方が客も来やすいでしょう!」

ということで、急遽私も頭数に入れられてしまった。生徒用のお座敷でみんなを待つと、明日の予定を説明した。

「・・・・・というわけで、明日は私も手伝うからよろしくね。」
「それ絶対こっちが本命やん・・・・・手伝わせたいだけやろ・・・・・。」

海で水着のお姉さんと遊びたいとぼやく志摩くんには悪いが、私と出雲ちゃんがいる以上それは出来ないと思っていてほしい。
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