さよならの花束を君に (完)

□候補生昇格試験
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「夏休みになると皆さんはペイジ、すなわち祓魔塾生からエクスワイヤ、候補生になるための試験が行われます。それに備えて勉強合宿を行う予定なので、このアンケート用紙に参加有無と希望称号を書いて提出してください。」

雪男の説明を聞きながらどうしたものかと考える。とりあえず参加はするが、すでに取得済みの称号でもいいのだろうか。

「なぁなぁ・・・・・称号って何?」
「はぁ!?お前称号も知らんと祓魔師目指しとんのか!?」

リーパー事件以来少しは打ち解けてきた燐と勝呂くん。三輪くんが親切に称号を説明しているのを聞き、勝呂くんも説明を始める。降魔剣があるのだから騎士希望なのは目に見えているが、称号くらいは知っておく必要がある。

(・・・・・ん?)

視線を感じたような気がしたが、教室を出ていく神木さん朴さんペアとあとを追いかけるしえみちゃんしかいなかった。たぶん気のせいかもしれない。

勝呂くんは結局詠唱騎士と竜騎士の2つを希望にしたらしい。あれ以来なぜかあまり話をしていなかったため、「残って勉強を見てほしい」と言われた時は正直びっくりしていた。

「・・・・・うん、間違えずに言えてるよ。大丈夫。」
「たかが4行言うても微妙に言いづらかったんやけど、まぁ零さんが言うなら大丈夫やろ。」

詠唱の課題では正確にかつ、どもらないことがポイントになってくる。実践の場合はプラスして悪魔と向き合う精神力と想像力が必要となるがこれに関しては経験あるのみ、である。

「なぁ、零さんはどの称号希望するん?やっぱ詠唱騎士か?」
「うーん、私は手騎士と竜騎士かな・・・・・。」

両方持ってるけどねー!とは言えず、照れながら答えてみた。すると予想外の答えに驚いたようで理由を聞いてきた。

「理由かぁ・・・・・。うーん。そうだ!もし勝呂くんが詠唱騎士になったら、私が詠唱の間守れるよ!」

これは我ながらいい理由ではないだろうか。ぽかんとした顔でこちらを見る勝呂くんにドヤ顔をすると吹き出された。
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