さよならの花束を君に (完)
□私の夢 あなたの願望
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祓魔塾にて。隣に座る勝呂くんのイライラが最高潮に達していた。原因はもちろん、奥村燐であった。水と油、犬猿の仲といった言葉が合うほど、二人の仲は最悪であった。努力型の真面目な勝呂くんに対し、授業態度も悪く寝てばかりな燐はまさに正反対であった。
そんな燐の隣には、悪魔が祓われた杜山しえみが座っている。どういう経緯でこうなったのかは不明だが、特に関わる機会もなかったので話してはいない。しえみちゃんのテストの点を笑う燐に、雪男が2点のテストを返す。・・・・・逆に何が合っていたんだ?
「2点なんて狙うても取れんわ!」
「なんだと!?じゃあお前何点だよ!」
ドヤ顔で98点のテストを見せる勝呂くんだが、間違えた解答欄に「ピノキオ」と書いてあったのが謎であった。私はもちろん100点である。
「お前そんな見た目なのに頭いいのな!すげー!」
「そんな見た目は余計じゃ!」
言い合う2人を落ち着かせる志摩くんと三輪くんを見て、なんとなくこの3人の関係性が分かってきた気がする。テストの返却で授業は終わり、次は実技の授業であった。
「動きやすい服で集合ねぇ・・・・・」
パーカーにジャージといういかにもな格好で歩いていると、噴水のところでまた勝呂くんと燐が揉めていた。
「なんやお前の女かぁ?」
おいおい勝呂くん、それじゃ完全にチンピラがカップルに絡んでる図だよ。三輪くんの肩を叩いてどうしたのか聞くと、坊が突っかかって行ったとのことだった。
「お前もそうだろ!零と勝呂が付き合ってるって噂こっちにまで流れてんだけど?」
「「はぁ!?」」
私と勝呂くんの声が重なると、私の存在に今気づいたのか勝呂くんと志摩くんが振り返った。
「坊ほんまですか!?抜け駆けなんて許しませんよ!」
「あほかお前は!零さんが困るやろ!」
「つまり坊は困らんのですね、なるほど。」
三輪くんの言葉にさらに荒ぶる勝呂くん。噂立てられたぐらいで照れるなんてまだまだ若いなぁ。なんて思いつつ勝呂くんの背中をぽんぽん叩く。
「まぁまぁ落ち着いて。とりあえずしえみちゃんと燐は着替えてきなよ。遅刻しちゃうよ?」
「あ、あぁ・・・・・分かった。」
圧力のこもった笑顔で送り出すと、2人は更衣室の方へ向かっていった。何か言いたげな勝呂くんにも早く行こうと促すと、納得いかない顔をしつつも頷いてくれた。