さよならの花束を君に (完)
□祓魔塾
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今年18になる女子ですが、現在入学式で1年生のフリして座ってます。前列右手でぐーすか寝ているのが例の奥村燐くんである。
(おいおい・・・・・雪男とは大違い、月とすっぽん兄弟だな・・・・・)
新入生代表の言葉を述べる雪男を見ていると、苦労を知っている分なんだか感慨深く父兄の気持ちである。ビデオに撮っておけば良かった・・・・・!
「・・・・・新入生代表、奥村雪男。」
長い祝辞が終わり、入学式は閉会して各クラスへと向かうことになった。入学試験を無視して、無理やり特進科に入れられたため肩身が狭い・・・・・。雪男と同じクラスなのはいいが、3年前の勉強なんてほとんど覚えていない。
「憂鬱すぎる・・・・・赤点取ったら死ぬしかない・・・・・」
「零さん、そんなに落ち込まなくても大丈夫だよ。赤点なんて取れないでしょ。」
横を歩く雪男の笑顔に顔が引きつる。こ、こいつ・・・・・赤点とったら奨学金打ち切り(給料減)なの分かってて言ってる・・・・・!これは学年トップのこいつに頼って勉強を見てもらうしかない・・・・・。
無駄に広い校舎を歩いていると、周りの生徒からチラチラと見られていることに気づく。やばい、ババアが紛れ込んでることに気づかれたのか!?それとも雪男を見てるだけなのか!?よくよく耳を澄ませると、「・・・兄妹みたい・・・」と話している。
「ねぇねぇ、私と雪男が姉弟みたいだって!」
「・・・・・たぶん兄妹、の間違いじゃない?零さん、実年齢と見た目合ってないし。」
無駄に身長高くなったお前に言われたかないわ!私の肘あたりにある雪男の腹にエルボーをキメると、私はさっさとA組に入った。