何度も君に恋をする
□金色のもふもふ
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真白紬、トイレから出た所で敵とぶつかる。
『痛…、すいませ…』
「お、真白さん」
『……』
ぶつかった相手は山本くん。それはともかく、見上げた先のいつもと違う光景に目が点になってしまった。
そう、山本くんのモヒカンのもふもふが金色に様変わりしていたのである。
『(レアアイテム…!?)』
「あ、あー。根性と気合いを入れ直して染めてみたんだ!」
『…そう、』
「似合ってるか?」
『…言ってもないし、思ってもない』
「(目がスン、てなっとる!!!)」
また根性だの気合いだの、相変わらずのことを言っている山本くんだけど。研磨のノートを持って行った時に大声で言い合いをしていた日以来、何かが変わったことには違いないと思っていた。
その証拠に「山本くん」と呼んでいた研磨が「虎」と呼ぶようになっていた。そして、山本くんも。
「あ?そういえば研磨は?」
『ふふっ』
「え!?な、何で笑って…!!」
『研磨って呼んでる』
「っ」
『研磨はもう部活に行ったよ』
「ソ、ソーデスカ」
『?』
何故か照れ臭そうに視線を泳がせて小さくなっている山本くんに小首を傾げた。とりあえず、移動しよう。トイレの前で話し続けるのもあれだし、今からバイトだし。
と、彼を置いて帰ろうと足を動かすと同じように隣を歩き出す山本くん。まあ部活に行くんだろうし、玄関までなら良いか。
人より声が大きい上に髪の一部が金色になって更に主張が留まらないけれど、黙っているなら良しとしたあたしが馬鹿だったとすぐに反省することになる。
「あ、山本!!今から部活かー?」
「おーよ!!」
「つーか、その可愛い子彼女!?」
「は、え…。ち、ちがっ!!彼女じゃ…」
「はー!?山本に彼女!?」
「だ、だから違うってば!!真白さん!!怒んないでっ!!!」
たまたま廊下ですれ違った山本くんのクラスメイトらしき男子達に彼女に間違われたからって、怒ってない。決して怒っている訳ではない。