†【the walking dead】†

□†【20】†
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とうとう
その日はやってきた
ガヴァナー率いるキャンプの人間と
休戦協定を結ぶ話し合いをする日で
私も同伴した

ガバナーの同伴者の
ミルトン氏は
中々悪くない性格だった
だがまだ信用はしていない
彼は性格が良くても印象が弱すぎた
とてもじゃないが
ウォーカーを人間がいる敷地内へ放つモノに
勝れる意思があると感じとれなかったのだ


やはり
お互いが距離を置いて
上手く過ごせる為の
仲介人はアンドレアだ…と

彼女は私の農場で見ていた姿より
とても人間に対し更に
親身になったと感じた

必死に悩む彼女の姿を再度見て
彼女は私達を生かすために
最善の努力をしてくれているんだと

重荷を背負わせてしまったとも感じたが
期待をせずにはいられなかった

だが
無事皆で刑務所へ戻り
その後にリックに呼ばれ
彼の内に閉じ込めていた
休戦協定のガバナーとの会話の内容を訊き
私は…アンドレアには頼れないとも理解した

『…休戦協定の条件は
ミショーンを…渡す事だった』

(………)

ミショーンを…私達家族を守るために
ガバナーに突き出せという
非道な条件だった


リックは首を斜めに傾け
私をジッと見つめ
『…娘の命が
天秤にされたら アンタはどうする?
俺は…カールやジュディスや…
仲間を守りたい』
言葉を投げた

マギーや…ベス
そして仲間
私もとても大事だ
だからと…

(…私にも
難しい質問だよリック
同じ子を持つ親として
そして一人の人間として
ミショーンを…ッ…)

『…ハーシェル
アンタに…ッ…訊きたいんだ
俺はどうしたらいい?
俺は…ミショーンを…家族を…ッ…』

一番
重荷を背負わせているのは
きみにだリック

許してほしい

キミは…誠実だ
仲間や家族を自分よりも一番に
考えている

誰よりも…優しく繊細で
誰よりも強い

許してほしい

『…ハーシェル…』

悲しい瞳をキミにはさせてしまう事を

(リック…他に
解決策は無いのだろうか)

『俺は…ミショーンを
ガバナーに渡す…』

(リック…私は
その解決策は納得できない)


リックはダリルを呼びに行った
そして
私とダリルに
ガバナーの最も欲しいモノを告げる

ーおまえの嫁が死ぬような刑務所なんて興味ない
ウッドベリーのが遥かに安全だ
逃げなくてもいい
何処にいるかわかる方が都合がいい
ただ…ミショーンを突き出せ
これが休戦協定の条件だリックー


ミショーンを
家族や仲間を守るために
生け贄にする事を

ダリルはリックに従うと
私は…
(…………)
同意が出来なかった

大事な者を守るために
大事な者を犠牲にするなんて

『仕方ないんだ…ッ…』

団体行動をするなかで
リーダーと言うものは
とても大事だ
そして団体を纏められる人間は限られている

そのリーダーに
選ばれた者は
大袈裟に言わば英雄だ

キミは今
仲間の命と家族の命を
背負っている
一人で独りで

キミが仲間を愛している事は
誰もが…わかった
キミの今までの
仲間を守るためにしてきた行動が
そう選ばれた

(他の者には言わないのか?)

『メルルには…話す』
【……】

キミが壊れてしまったとしたら
それは
私達のせいでもあると

(今日は‥休みなさい
ダリル…リックを)

【…ああ
行くぞ?リック】
『………』

話してみないか?

大丈夫だよリック

皆…そんなに弱くない

キミも守られているんだ
皆に守られているんだよ

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