†【the walking dead】†

□†【18】†
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【リック…】

あの媚薬事件から
リックは俺達兄弟を…避けている
グレンが言うには
情けない姿を見せた羞恥からだと言っていた

あんなトリップ姿をした奴らは
この世界の前にはゴロゴロ転がっていた
恥ずかしがる意味がわからなかった

ー嫌われてないよダリル
元気出せよ…な?ー

ー………ー

そう…言われても
俺には
【どこだよ…】
どう今のリックに対応したらいいのか
サッパリわからねぇんだ…

リックが車に乗り込んだのを見つけ
俺は駆け足で近づいて
車の窓を叩いた

『!』

【…調達か?
俺も連れていけ】

『あ…ああ
いや…一人でいく
ダリルは此所を守れ』

【………】
正直単純に
アンタとギクシャクしている
この空気が嫌だ

【マギーとグレンがいる
危ない人物がいるとしたら
今は一人のアンタだ】
『‥‥OK
乗れよダリル』

車を少し遠くまで走らせる
色々な店を見て回り
物資を集めていった

あるスーパーで
ウォーカーを殺しながら
物資を集めていると
薬局ゾーンを見つけ
俺は薬なども手にいれようと見た

そこにはリックが既にいて
ボーッと眺めている
撫で肩の華奢な後ろ姿は無防備で
思わず焦り駆けよった

『!?』

【何してんだアンタ
危ねぇだろ…無防備すぎだ
アンタとだから俺は
デカイスーパーに入ったんだぜ】

リックが華奢な身体には見えるが
無駄な肉が無く
綺麗に筋肉がついているからで
あれだ着痩せするタイプってやつだ
こんな人間には昔なら
けして心配なんざしなかったんだが…

『‥俺
本当に…メルルのを…したのか?』

【するわけねぇだろ
てか
させるわけがねぇだろ】

『はあぁ…よかった
聞きたかったんだが
聞きにくくて…ホッとした
男のをシャブるなんて考えられ無いし
ただ…あの時の俺は
もしかしたらって…』

【‥‥‥】

『あ…悪かったな
きごちなくしてしまって…
保安官の頃に
そーゆー溜まり場へ行ったことがあるんだが
あんなモノを体験していたんだな』

【‥で?
何んの藥を探してたんだ】

『探してない…特に
ああ〜…でも
必要な藥はいただこう』

【媚薬はないぜ】

『!!‥探してない
やめてくれ
ただ藥の棚を見ていたら
思い出しただけだ‥///』

【…ふーん】

ウォーカーから逃げながら
車へと乗り込んだ
助手席に座ると
リックが運転席ではなく
後部座席に乗り込んだ

【…おい
何してんだ?】

『ああ…ちょっと
荷物を整理しようかと
この間適当に入れて帰ったら
母さんに叱られたよ
女性用品を俺は使わないから
手荒につめていたらしく』

【母さんに?】

『我等家族のキャロルだよ♪』

【…ん
じゃあオヤジは?】

『ハーシェルかな』

……俺は?

キャンプでリックと初めて顔を合わせ
暫く車移動だったし
たいして話す機会は無かった

牧場から話すようにはなったが
リックにはシェーンがいて
シェーンとイザコザがおきてから
ようやく話す機会が増えた

俺は…初めて
必要だと言われ嬉しかった
そう嬉しかったんだ

餓鬼の頃から
あっちへ行けだの
生まなきゃよかった…だとか
自分と言う存在の価値を
みいだせず

ただ
息をし生きていただけで

シェーンと話している間に入り
"お前は必要ない"とリックに
あらわされるのは嫌だった
『よし…これでいいか』

【おい…ウォーカーが来るぞ
俺は運転出来ないぜ?
事故死したくないだろ】

後部座席から
リックは身体を乗りだし
運転席へ
リックの小さな尻を押して叩き
早く車を出せと促した

車を走らせながら
リックは眉間にシワをよせ
何やら考えている様子だ
仲間皆そうだが
リーダーのアンタは一番
背負うモノが違うからな

近々
ウッドベリーの連中に
会う予定が近いし
話が拗れて銃撃戦に突入するかもしれねぇし
話してる間に攻められるかもしれねぇし
悩みの種はバラまかれるばかりで
尽きることがねぇ

俺が
腐った世界で過ごした日々は
まだ…マシだったんだ

この更に腐った世界では
ウォーカーだけじゃなく
理性を無くした人間が人間を
生きるために殺すからな

『ダリルは不満は無いか?』

【?】

『…言ってくれ
不満があるならば
俺は少し強引な所があるだろ
黙る必要は無いからな』

不満か…

【…ねぇよ
俺は自由にしてるさ
不満があったら此処には居ねぇ】

あるわけが…ない

日があたると
リックの瞳は水色の様な
綺麗な色になる
優しい色に俺は安堵する

まあ
キレるとこぇーけどな一番

【関係ねぇ話だけど
あんたのそれ癖だよな…】

『…?』

【小動物みてぇに
首を斜めに傾け
ジッと相手の目を見ること…】

『そうなのか?』

【…ん】

『ダリルも
少し顎を引いて上目使いで見るのとか
癖だろ…くく
あとソワソワすると左右に動く
まるで猛獣みたいに』

【…そうか?】

顎を引いて上目使いで見る癖は
構えて相手をリサーチする俺の癖だ
無意識な…防御方

『俺は…絶対に守りたい
ダリルを愛している
皆を愛している
だから皆には…生きて欲しい』

【………】

『…自分でもわかる
そう思う事から
今までに無かった過剰な面が
まるで自分じゃ無いみたいな
怒りに侵された闇の部分が剥き出す感じだ
シェーンを…殺した時にソレが生まれた気がする』
【………】

『ダリルは違う
日がたつ程に
キミは俺とは逆で周りに親身に
なっていっている…
とても優しくなった
だから…だから」
【…だから?】

『俺がmonsterに変わったら
俺を止めてほしい…』
【……】

リックは車をゆっくり停止し
ハンドルに額をあて
『俺が…俺を見失ったら
ダリルに止めてほしい
オサエラレナイ時がある
仲間を家族を襲う脅威に対しての怒りを』
小さく言葉を投げた

【…アンタは優しくて賢い人間だ
もしアンタがmonsterに変わるとしたら
その出来はmonsterに変わる事が必然だったんだ】

リックは顔を上げて俺を見る
長い睫毛の奥の青い目には涙が
『…ッ…ありがとうダリル』

なぁ…
【もう俺を避けないよな…
アンタに避けられると嫌なんだ】

『…勿論
俺が…気にしてたのは
メルルの件で
ほらダリルはメルルの近くにいるから
…悪かったよ』

【………ふーん】
俺の耳を舐めた事は…
たいした事じゃなかったのか

【媚薬盛られたアンタは
中々良かったよ
無性に喰いたくなった…くく】

『え?』

【…いや
美味そうだなと思った】

『…筋ばっていて
不味いと思うが…』

【…………】

『?』

リックはクシャッと笑い
弱音を吐くつもりじゃなかった
すまないと
右目の頬を流れ落ちた涙を
手の甲で拭おうした

俺はその手の手首を掴み
【擦るな
瞼が傷つく】
『……ッ!』
そう言い変わりに舌で舐めた

『………』
【…?】

『…おまえ
ソレも…クセなのか?』
【…なわけねぇし】

リックは照れくさそうに
俺の髪をグシャグシャと撫でて
『髪が少し伸びたな
出会った時のダリルは
野生のコザルみたいで可愛かった♪』
【…コザルかよ】
言葉を投げた

俺はボーガンを弄りながら
ウォーカーの群れに罵り俺は舌を出す
それを見てリックはケラケラと笑った

【リック…】

『?』

【俺もアンタが好きだ】

『……』

【何だよ…嫌なのかよ】

『…好き?』

【ちッ…愛しているよ】

『くく…ありがとうダリル
俺はもっとおまえを
愛している』

【やめろ…ばか】

『照れるなよ…ははは』

【喰うぞ?マジで】

『…ッ』ビク

【くく…♪】

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