†【the walking dead】†

□†【14】†
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"父さん…"

"?"

"怒らないで聞いてくれる?"

"なんだ?カール"

"…お願い休んで"


あの日から俺に異変が起きた
シェーンを殺し
ローリが死んだ後から

逝ってしまった仲間からの電話に
死んでしまったローリの姿

彼等はまだ
俺の前に…

彼女もあらわれる

『…はあはあ』

行く手には常に脅威

ウォーカーだけでは無く
"人間"までも
俺達には脅威になった

シェーンの存在は
序であった
彼の様に脅威に蝕まれ
変わった人間が…人間を

総監と言う男
脅威に満ちた男
隙を狙われウォーカーを
俺達の家に放たれた
困難は
戻ったダリルとメルル
そして仲間と乗り切った

そのあと
敵地からアンドレアが訪れた
最初はスパイじゃないかと疑った
今でも完璧にもう
疑ってないわけじゃない

他人が…怖い
離れた仲間すら今は

俺にはもう
家族も守れない俺には…もう

だからこそ
他人が脅威
【…………】

ローリ?

何故あらわれる

ローリ

俺を責めているのか?
守れなかった俺を
【………】
答えを教えてくれ

ハーシェルが
俺に救いの手を伸ばす
仲間が救いの手を伸ばす
だが彼等には
ローリは見えない

【リック…】
『……』

【…少し休めよ】
『…ダリル』

【ん?】
『…俺は…今
どんな顔をしている?』

【ウォーカーの血で真っ赤だ】
『…そうじゃなく』

【…髭面】
『………』

【それもアンタだ
どれもアンタだ】
『…ッ…』

【…三日後
例の話し合いに行くんだ
んなんじゃまともな話が出来ないぜ】
『…アンドレアと…総監』

【…行くんだろ?
アンドレアは一人できた
あのウォーカーの中から
俺達と話すために】
『………ああ』

【ミショーンはどうだ?
物資調達にカールと行ったんだろ?】
『…カールが認めたよ
だから…大丈夫だ』

【そうか…ならいい】
『あの日
モーガンに会ったんだ』

【…モーガン】
『俺を助けてくれた人間だ』

【アンタを刺した】
『錯乱していた
息子を…亡くして』

【………】
『仲間にと話したが
彼は…来なかった
無理にでも連れてくる
べきだったんだろうか…』

【無理に連れてきても
去ると思うが…】
『………そうだな』

【疲れてる顔をしてるよアンタ】
『…おまえもだよダリル
皆そうだ疲れている』

【……アンタと俺は
スタートラインが違った
今もゴールも違うが】
『?』

【俺は他人を信じてなかった
アンタは他人を信じていた
俺はアンタに会い他人を信じるようになれた
アンタは…他人に不信感を
まるで俺と真逆
混乱してんだよ】
『…ダリル』

【…】
『それは違う
俺は俺でダリルはダリル
比較するモノじゃない…』

【…俺さ】
『?』

【アンタの
そーゆーとこ好きだ】
『…ッ…』

【見張りは任せろ
物資調達も任せろ
子守りも任せろ
アンタの世話も任せろよ】
『……ダリル』

【俺は此処へ戻った
アンタが俺にしてくれた事
俺はそれを
いつでもアンタに出来る
アンタは俺の唯一
人間を信じさせた人間だリック】
『ありがとう…ダリル』

【…ああ】
『…休むのは
総監とアンドレアに会った後だ』

【………】
『そうだ…そのあとに
俺はどうするかを考える』

仲間とウォーカーから身を隠している刑務所
ウォーカーを一掃した筈のフェンスの先は
総監の脅威に汚された
此処で俺は居たい
息子と赤ん坊と居たい

俺はどうする?
奴が休戦協定を成立させなかったら
奴は…非道だ脅威だ
ミショーンや刑務所
そしてアンドレアさえも盾にするかもしれない

【リック…】
『…?』

【とりあえず座れよ
見張りは今は一人でいい】
『……』

【少し眠るんだ
代わるときに起こすよ】
『…そう…だな
あ…今日は調子はどうだ?』

【…まあーまあだな
だが支障はない】
『無理…するなよ….。o○』


地上とは似合わない晴天
鉄格子に背をあて座り
銃を握り
真横にダリルがいて
『…寄りかかったらすまない』
【…蹴飛ばすよ気にするな】
『…くく』
【?】
『ダリル…
メルルは連れていかないぞ
着いていくと言っていたから
話を…しておいて…くれ』

重い重い瞼が
ゆっくりと閉じ
俺は眠りの中へと落ちていく

霞む視界の先には…ローリが
『…ロ…リ』
俺を…見ている

まだ開いていた瞼を
【寝ろって】
『ぐ…』
ダリルは強引に掌で閉じた

ダリルの声が小さく聴こえる
【彫刻みてーな寝顔だな…】
おやすみリックと

空は
まるで能天気な程に爽やかで

吐き気がする程に

ソレが似合わない地上

神は居ない 居ない


夢を見た
毎週日曜日の夢だ
ローリがパンケーキを焼くんだ
それをカールと俺とローリで
家族で食べる

俺と…だと思っていたが
振り返った男はシェーン
3人で仲良くパンケーキを食べていた

『…ッ.。o○』
【…大丈夫か?】

『…ああ.。o○』
【魘されてたから…】

『ダリル…交代しよう』
【ああ…グレンとミショーンが戻った
夕飯だろうから持ってくる】

『ありがとう…』

ダリルは刑務所内に入るノブに掌を
【…森には行くなよ】
少し間を置いて言葉を投げた


真っ暗な空は
地上の光景とよく合う
脅威に汚された地上と…

『…総監』

メルルは逃げろと言う
メルルは逃げないのであれば
卑怯な手を使ってでも
総監を殺せと言う
メルルは総監の右腕をしていた
メルルは総監を…よく知る

"休戦だ?
そんなアホな協定を
奴が飲むと思うのか?アンタは
冗談じゃねぇ
行ったらダリルが殺される
真っ先にダリルが殺される!
俺も連れていけ!"

《リック…》

当日までメルルは言い続けるだろうな

『?…メルル』

《考え直してくれたかよ?
俺も…ん?連れていくと》

『…変わらない
何度来ても答えは変わらない
俺はオマエを置いていく
話し合いの場にならないからなきっと』

《………アンタみてぇな腰抜けに
ダリルを任せられるかよ
お前に総監をスンナリ殺れるとは思えない
総監はそのスキを狙い撃つ》

『………』

《…ダリルが死ぬ
だから俺も連れていけ
おまえはダリルの盾にはなれないだろ
糞詰まりみてぇな面で
ゴチャゴチャと無駄な事を考えてないで
とっとと奇襲をかけるから
ジジイと餓鬼を連れて逃げろよ》

『…俺は…逃げない
やっと見つけた安全な場所だ』

《安全な場所ね…
嫁は死んだんだろ?》

『…メル動揺させても無駄だ
おまえは絶対に連れていかない!』

《ははは…くく
可愛い面して何を喚く
喚いたって無駄だ
此処の奴等は
おまえのせいで死ぬ!》

『何度も言わせるなメルル
部屋に戻るんだ…』

《…そうか
タマってんだろアンタ
嫁が死んじまって
女はグレンの女か餓鬼と
淡白な女しかいねぇもんな》

『は?
メルル…おまえ薬をやってるのか?
それとも呑んだのか?』

《ヤクはやってねぇよ…
禁断症状に苛ついてはいるがな》
メルルの腕が下半身へ伸びる
避けた体を義手が絡みつき
《ダリルを女々しくした身体は
どんなんだ?
ダリルは服従体質だ
おまえはこのペニスをつかったか?
それともケツか?》
『離れろ!
そんな事はしていない』
俺は身体を拘束された

《もがくなよ
俺に敵うと思うのか?》
『ッ!!…触るな!』

《おまえと一緒で
ちいせーペニスだな…ん?》
『やめ…ッ…』

《なかなか
いい面するじゃねぇか…はは
そうかアンタがダリルを
タラシこんだか》
『い"…たッ…痛い離せ!』

《わかるか?
義手の俺の腕すら払えねぇ
おまえは弱いリック
食えるもんは餓鬼や仲間へ
リーダーアンタは残飯だ
それじゃ駄目なんだよ
わかるか?リーダーさんよ
こんなリーダーじゃ休戦協定の修羅場で
一瞬でタマの餌食だ…くく》
『ッ!!…メル‥ルッ!!』

コンコンッ!!
鉄格子から音が
見ると食器を持ち
ナイフをメルルに向け
【おい…ソロソロ離れろよ兄貴】
ダリルが立っていた

メルルは俺から手を離し
《悪趣味だなダリーナ
おまえ見てたのかよ…くく》
ダリルに言葉を投げた


膝から倒れる俺にダリルが駆け寄る
【…大丈夫かよ】
俺の下着を整え背中を叩く
『驚いた…』

【?】
『…突き飛ばす力が
無いなんて』

【…リック?】
『サイテーだな俺は…』

【飯を今すぐ食って
身体を流してこいよ
バイ菌ついたろ】
『……確かに』

《おいおいダリーナ
バイ菌扱いはないだろう!》

【メルル!!
次また手ぇだしたら
玉をチョンギルからな!!
部屋に戻れ!】
《ダリーナ…冗談だ怒るなよ》

不安なんだローリ
凄く不安なんだ
次々に仲間を殺されて

不安…なんだ

他人は大事な者を傷付ける
そして最悪殺すんだ

カールや赤ん坊までも
『………』
俺の前から消し去ろうと企む

総監…アイツは
信用できない…信用できない
どうしたらいい?

秩序ってなんだ?
人間ってなんだ?
こうなるともう
ただの物体だ

【おい…リック】
『?』

【メルルにシコられて
反応したのか?】
『は?!』

【…答えろ】
『す…するわけないッ!!』

【…………】
『ダリル…カールには言わないで』

【言わねぇよ…よしよし//】
『ああ〜…最悪な気分だよ』

俺は…仲間を守りたい
家族を守りたい
その為ならば

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