†【the walking dead】†

□†【10】†
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ーおい!餓鬼がうるせぇんだよ!!ー

‥‥‥‥‥‥‥‥‥

ー何処に隠れてんだッ!!
出てきて泣き止ませろッ!!ー


‥‥‥‥‥‥‥


ー泣き止めッ!!ー


‥俺の名前を呼ぶときゃ
酒を飲んで怒鳴ってやがった
無関心を装う馬鹿な母親は
寝タバコして火事にしおっちんだ

俺は?
まだ餓鬼だったな
まだあんときゃ
あの野郎にビビってた

〔…………〕

ー早く黙らせろッ!!
また殴られたいか!?ー

いつしか
激痛は激怒に変わっていった

いつしか
牙を向けるようになった

くだらねぇ奴だと
鼻血を垂らしながら
毎日毎日思っていた
いつかぶっ殺してやると
俺は
こんなクソ野郎と
血が繋がっていんだと
思うと吐き気がした

くだらねぇ人間だ
テメェが黙れクソ野郎





歳が離れた弟がいる
なんもしらねぇ
小さな弟だ
〔……ダリーナ
はは〜泣き止まねぇと
くっちまうぞ?〕
(…ッ…メルル)
可愛い可愛い弟だ

泣いていたダリルを黙らせる為に
頬をツネって言葉を投げると
〔‥どうした?〕
(‥あたま…いたい)
ダリルはツネられた頬を押さえ
そう言葉を返した

〔頭がいてぇのか…OK
ちょっと待ってろ〕
(‥メルル)

〔じゃあ
一緒に探すかダリル〕
(ん…)

頭痛薬を探したが
結局見つからず
泣いてる弟を背負って薬局行って
俺は薬を盗んだ

〔ほらダリル…飲め〕
(………ん)

金なんて無かった
万引きが当たり前だった
そのうち常習犯になり
年少行きだった

罪悪感なんてねぇ
寧ろ年少は静かでいいと
思うくらいだった

悪行が悪いか?何故だ
金が無いんだ
ダリルが死ぬかもしれねぇ
盗まれる間抜けな店員がわりぃ
ちゃんと仕事をしろよ クソ野郎が

日に日に酷くなる
クソ親父の暴力に
俺はいつしか
耐えられなくなった

それは…
クソ親父の頭を
かち割りそうになったって事だ

親父は気づいていない
俺はもう
おまえを倒す為に
身体を鍛えていた

俺は親父を殺したいと思った
心底思った
だから…ダリルを置いて家を出た

親父は俺が嫌いなんだ
俺が居なきゃダリルは
あんな隅で座って震えないだろう






一文無しの俺は
タチのわりぃ奴等が集まる場所に
目をつけた
そして集団の
頭をぼこぼこに殴った
俺は力を見せつけ
そいつらの金を巻き上げた

金は案外
楽に手にはいるもんだ


いつしか腐った仲間が増えた
いつしか煙草の変わりに薬になった
いつしか巣が出来き金が出来き
腐った世界が楽しかった
〔ダリル!〕

(…メルル?)

〔はは〜…デカクなったな♪〕

(……)

〔来いよ
俺と暮らそう〕

(!)
いつしか
ダリルを迎えに行った





生っ白く華奢で
弱っちい弟だ
あんな…家に居たんじゃ
そうなるだろう姿だった
〔……〕

飯を獣の様に食う弟に
(……♪)
俺は決めた

〔おいダリーナちゃん…〕

(‥その呼び方
やめろよ兄貴)

〔はは
‥‥おまえを鍛える〕

(は?)

〔強くなれダリル
どちらにせよ
ひ弱じゃ俺とは住めないぜ?〕

(‥‥何故?)

〔俺の食いぶちの1つに
今日連れていってやる〕

(‥‥‥)

その日ダリルを連れていった
きたねぇ地下へ
そこはファイトクラブ
強い者が大金を手にいれる

(‥‥何だ?此処は…)

ポカンと眺めている弟に
〔この世は強い者が生き残る
生き残る術は頭だけじゃねぇ…
わかるか?兄弟…ん?〕
(‥‥)
(アイツはチャンピオンを
とった事がある男だ
見ろよあの下品な筋肉ゲイか?
はは
‥‥‥俺がまた
ぼこぼこにしてやる)
俺より一回りデケェ男を
ぼこぼこにのして見せた

(…メルル…すげぇ)

〔はは〜
おまえも俺みたいに
仕上げて見せる
腐った世を生きる為にな
誰も助けちゃくれねぇぜ?
誰も信じちゃいけねぇぜ?
信じられるのは
自分の力だけだ!ダリル
頭の中に刷り込めッ!!〕

(!)

〔…んなに怖がんなよ
大丈夫さ
俺の弟だ俺みたいに強くなる〕

(…………)

〔……それとも帰るか?〕

(帰りたくねぇ…)

〔じゃあ…おまえも
食いぶち稼げよ
エントリーしたからよ〕

(!?)

〔ん?強くなるんだろ?
帰りたくないだろ?
だったら俺に従えダリル…OK?
可愛い弟よ…〕

(…………OK)

思った通りの結果だった
ダリルは1発腹にくらい
ゲロ吐いて倒れた
〔……はッ…よえ
俺の女のがツエ〜や〕
倒れたダリルを
何度も何度も相手が蹴り飛ばす

痛みに呻き声を上げて
身体を小さく縮めた弟を見て
〔…止めろ!
アンタの勝ちだ!〕
堪らなくなり試合の中断を求めた

それでも殴る蹴るを続ける男に
〔…テメェ
ぶっ殺すッ!!〕
俺は顔面に頭突きを食らわし
歯を全部抜いてやった

(はぁはぁはぁ…ッ…)

〔………ダリーナ
ダセェぜ…〕

(ゲホッ!!…はぁはぁ
ッ…)

〔OKOK…帰るか
ほら背負ってやるよ
はは〜…やっぱな先ずは俺が
おまえを鍛えてから
エントリーだな〕

(…はぁはぁ…兄貴は…すげぇや)

〔…へへ♪〕
(…♪)

ダリルは雛鳥の様に
俺に忠実だった
俺がすることやること
全てやり全て覚えた

まるで俺のコピーだダリル
おまえだけが
俺の信じれる大事な者だ

腐った世の中だ
だったらとことん腐って
この世を征服しようか
ディクソン兄弟の名を更に広めよう

ー…おまえ
俺の女をとったろ?メルルー

〔おいおい
薬やりすぎだろ
はは〜〕

ー誰のお陰で
薬ができんだよテメェ…あ!?ー

〔!!〕

麻薬の密売をしていた男が
女を取られた腹いせに
俺に殴りかかってきた

殴られた俺を見て
一緒に飲んでいたダリルが
そいつを殴り倒した

中々いいパンチになった
ダリルはだいぶ鍛えられた
そんなん思っていたら

こんなもん直ぐに手にはいる
ーこのクソがき!ー
クソがダリルの額に
(うわッ!!)
銃口を押し付けた

おいおい…
ダリルに手を出すのは許さねぇ

俺はその男の眉間に
銃口を押し付けた

張り詰めた空気が流れた

その恐怖から男は
ダリルから銃口を外し
変わりにダリルの腹を蹴った
ダリルは盛大にゲロを吐き
ーはははー
〔ははは〕

(はぁはぁ…ッ!!)

ー…薬を捌きに行くぞー
〔OK…
おい…ダリーナ行くぞ〕

(……ああ)

ーごめんよダリーナ…ー
〔くく…〕

(死ね…シャブ中野郎)

ーおまえもだろ!ー





ある日腐った世の中が
更に腐った
外には腐った人間が人間を襲っていた

〔ははは
なんだ?ありゃ見ろよダリル
気持ちわりぃ!!〕
(逃げるぞ兄貴!)

〔少し
あの腐ったゾンビ野郎と
遊んでから行こうぜ♪
ああ〜…銃は使うなダリル
さっきゾンビを倒すのに
脳天撃たねぇと死なない姿を見た〕
(クソが!!
んな時に薬やってたんか!?
遊んでなんか行かねぇ
逃げるんだよ!!)

〔……つまらねぇ
負けねぇだろ?俺達は
あんな病気持ちの奴等によ〕
(メルル…)

〔??〕
(俺達は二人で生きてきた
兄貴が居なくなるなんて
俺は嫌だ…)

〔…よえ〜な…ダリーナ
まだまだだったな〕
ぎゆッ…
(!?
いいから!早く逃げるぞ!)

俺達は拳銃とナイフを持ち
死闘を二人で潜り抜けた
行く行くウォーカーって奴は
音に近づくとわかり
ダリルにボーガンを持たせた

〔……♪〕
(??)

〔おまえは俺の
perfectだよダリーナ♪〕
(……)

〔俺に着いていりゃ
死なねぇから
俺に従え
絶対に俺から離れんなよ?〕
(…OK…メルル
アンタは最強の兄貴だ)


OK
ゲームを始めよう
ウォーカーをぶっ殺して進むゲーム

襲いかかった者は
誰であろうと
ぶっ倒して進むゲーム

どっからでも来い
俺は誰にも負けねぇ
俺は全然怖くねぇ
寧ろ楽しいくらいだよ
恐怖心なんざとっくに
打ち消す力を身に付けたさ
変わりに牙を磨きあげた

LIFEを楽しもう盛大に盛大に








俺はフラフラと軍隊に入ったり
おまえを置いていっちまうが
俺がフラフラと帰ってくる場所は
おまえが隣にいるんだ
俺達は二人で生きてきた

二人で





ー…メルルー

〔総監
あの薄汚くかぎまわっていた
黒人女は逃げちまった
ただ変わりに
収穫があった〕

ー…なんだ?ー

〔知り合いの中国人と女だ
何処かに巣がある
物資や武器もあんだろう
それをわらせる
それに探していた
俺の弟が生きていた〕

ー…弟がー

〔ああ〕

ーメルル?ー

〔??〕

ー…おまえは
ダリルを倒せるか?ー

〔…俺の弟だ
手を出すな…〕

ー……ー

〔アンタには感謝しているよ
アイツら中国人達に手錠をつけられ
ウォーカーの中に野晒しにされ
手を失い死にかけた俺を救ってくれた
だが…弟には手を出すな〕


俺は悪魔と呼ばれている
いまでも

だからなんだ?と
考えなかった

今居る此処で
俺を救った総監の命令ならば邪魔な奴は
人間であろうが殺してきた

全く罪悪感なんざ無かった
此処での俺の仕事だからだ

ー…OK
ダリルを仲間にしろ
スパイをやらせるんだー

此処には小さな街が存在する
ウォーカーに破壊される前の街が
フカフカのベット
暖かいシャワー
美味い飯に…嫌いな学校
何でも揃っていた
高い壁で囲まれて
頑丈な警備

俺は警備隊の一員
総監に戦力を認められた殺人鬼

力があれば何でも出来き
賢いだけじゃ生き残れない
俺はこの世界の為に生まれた

〔…スパイ?〕

ただし

此処は…命の保証はねぇ

総監は裏と表
両方の顔を持つ
武器は外から人間を殺して奪い
物資も全てそうだ

顔色変えず
総監は人間を殺し
笑顔で此処の生存者を
まるで神のようにソレを振り分ける

ダリルをスパイ?
馬鹿にしてんのか?
んな…もの
マジでタダの捨て駒じゃねぇかよ



ダリル
おまえと一緒に居たい


俺はおまえをずっと探していた

ダリルが生きていた

〔…〕

ーさて…
中国人に話を聞いてこい
アンドレアには…内密になー

〔…了解〕

ダリル…会いてぇな








おまえは死んだと思っていた

誰も
おまえには手を出させない

おい…総監

おまえも同じだ
ダリルに手を出したら
俺の…enemyになる

全て


敵だ





いつしか孤独感を好むようになった

いつしか攻撃的になった

だがいつだって
1つは変わらない感情があんだよ

唯一の家族の弟を
俺は…いつだって
守りたいとおもってんだ

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