†【the walking dead】†

□†【9】†
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進む道で常に
足を掴まれる
そしてソレに油断をすると

殺される

俺はある者に救われた
救われた命を
大事にする為に
俺は彼と同じように仲間を守りたいんだ

なのにどうしてだ?

同じ人間に首をしめられる

人間に…人間に





刑務所内で
人の手に寄って
最愛の妻さえ奪われた
俺の最も支えであった妻を
やはり
仲間以外は誰も
『………』
信じたくない
信じられない

人間にたいして
拒絶反応が強くなった

話し合いなど無理だ
話し合いなど無駄だ
解り合うなど無縁の世界だ








最近…俺の前に妻が現れた

何も話さないで
ただ…俺を見るんだ

ただ
俺を見ている

その答えがわからない

(……何してる?)

『見張りだよ…
ダリルこそどうした?』

(…物資調達から帰ってきたら
休んでる筈のアンタが居なくて
……見張りは
マギーの番じゃなかったか?)

『変わった…』

(何故?)

『俺が見張りたいからだ…』

(………リック)

『?』

(顔色がわりぃぜ?)

『…そうか?
ああ〜…そうかもな』

(…見張りを代わる
アンタは少し眠って来いよ)

『ダリルが休め…
疲れてるだろ?』

(…俺は休んでるよ
アンタほど無茶はしてない)

『…………』

ダリルは触っていたボーガンから指を離し
その細い指を
(………)
『?』
俺の額へあてた

(…熱はねぇな)
『……』

そして俺の頬を撫で
その手を顎へ移動し
(…髭伸びすぎじゃね?)
『……』
言葉を投げた

『…だいぶ剃ってないな』
(くく…似合ってるが
babyフェイスは変わらねぇんだな…)
『…babyフェイス?
言われた事ない』
(…♪)


『…………』
(?)

『…たまにクラクラするんだ』
(寝不足だろ
ストレスからもあんだろう
自律神経がやられてんだ…)

『…こんなんじゃ駄目だ』
(だから寝ろって
‥ハーシェルが聖書ってやつ見つけたらしい
刑務所内に聖書ね
笑える
俺は絵がなきゃ読まねぇ
無縁の本だ)

『…聖書か』
(読む必要があるのか?
神は見放した人間を
地上は地獄画図だ
天でクソしながら眺めてんだろうな…)

『…クソ…くく』
(まぁ…いいさ
なんか食うか?持ってくる)

『…いらない』
(そうか
じゃあ持ってくる
‥カールは食ってたぜ)

『………』
(親父…しっかりしろ)

『!』
(……いるだろ?)

『…ありがとうダリル』
(……)

ある時は真っ白なドレス姿のローリ

ある時は…ジュティスが生まれる前の姿のローリ

彼女は俺に何かを訴えている

生前の彼女は…
どうだっただろうか
それが何かのヒントになる筈だ

だが
思い出せない
シェーンを殺したと話した時の
拒絶された姿と
彼女が死んだボイラー室の光景しか
思い出せないんだ


『………ローリ…ッ…』

彼女の遺体は無かった
代わりに1体のウォーカーが
腹を脹らませ座っていた
あの腹の中にローリがいた
俺は…腹を裂いて
中身を出そうと思った
そこにローリが居るからだ

それはしなかった
代わりにナイフで滅多射しにした

その時にボイラー室の電話がなった
仲間を救える場所があると電話先で相手が話した
‥俺はもう堪えられなくて
その電話に仲間の救いを求めた
妻の死を聞かれ答えられず切られ
3度目の電話を取ると
"リック…"
ローリの声だった

聴ける筈が無い…

それからだ
妻が現れる…

俺に何かを訴えている








『…今日は…暑いな』


こんなにも目まぐるしい世界で
空だけは変わらない

太陽の日差しが遮られた
(………)
ダリルが食べ物を持ち立った

『……ありがとうダリル』

手を伸ばした俺に
ダリルは食べ物を手渡し
目の前に小さな簡易椅子を置き座り

(……)

ジッと見つめた

『…なんだ?』

(……別に)

『…美味いよ
何でも美味い』

(…ああ)

『………』

(アンタは…よく泣くな)

『駄目な…父親だな…』

(そうか?)
『‥俺の親父だったら
こうはならなかった』

(こうって?
アンタ?カール?
それとも…俺達?)
『…全てだ』

(………リック?)
『?』

(見張りはするから
少し休め…)
『……』

ダリルは服の裾を摘まみ
俺の頬を拭い
(…目から鼻水でてるぜリック)
『………ッ…』
そう言葉を投げた

向かい合って座っていたダリルが
立ち上がり椅子を避けた
『!?』
その瞬間に太陽の日差しが
強く顔にあたる
彼はどうやら日除けをしてくれていた様だ

(あ…わりぃ)

ダリルが本格的に
見張りのポーズを
俺は
(………)
『‥少し寝る』
ダリルの背に寄りかかり
眠る事にした

(‥OK)
『…♪』




クスクスと誰かの笑い声が聴こえ
ユックリと目をあけたら
『……ジュティス?』
ー…zzzzー
ジュティスを抱いて眠っていた

虚ろな目で周りを見ると
可愛いとか周りが
俺を見下ろし話していて
(…寝かせてやれよ
こいよ…ジュティス)
俺の腕からジュティスをはがし
ダリルはベスに手渡した

寂しくなった手が
無意識にダリルの服の裾を摘まんだ
ダリルはまた背を向き座り
俺の腕をダリルの腰にまき
(……おやすみbaby)
『…zzzz』
俺の前髪を掻き分けた

久しぶりに
自然と睡魔に襲われ
まるで子供の頃に
遊び疲れて眠るような
深い眠りについた

そしてローリの姿は消えていた









(…アンタはもっと
もがければいいな
内だけでは無く外に…)
『…zzzz』

(性格的に無理か…)
『…zzzz』

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