†【the walking dead】†

□†【5】†
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これからリックと二人きり
捕虜の厄介者を…始末しにいく

遠くへ遠くへ

久しぶりに二人で車に乗り







車内から見える風景は変わった
俺の目に見える場所には脅威しかねぇ
ウォーカーばかりが歩いている

【……】

俺が知る世界で
隣のコイツだけ変わらないまま

【おい…まだ先だろ
何故車を止める?】

『…一週間まった
話がしたい
息子を救うために
助けてくれた
あの日の夜の事で
シェーン…殺したろ?
同行したオーティスを…違うか?』


【俺は医療器具を持っていた
二人とも弾は一発ずつしか残ってなかった
ウォーカーは数えきれないほど居た
俺は殺してない膝を撃った
殺したのは倒れたオーティスを喰ったウォーカーだ
俺はカールを救えた!
その為にはオーティスなどどうでもよかった】

結局コイツと
コイツが連れてきた厄介者の囚人を
置いていく場所で
今度はリックと価値観の違いで殺し合い
ウォーカーに気がつかれ
バスに逃げ込んだ俺をリックは助けた
リックは囚人をウォーカーの中に置いていかず
結局牧場へと連れて帰った







最初は純粋に
死んだと思った親友の妻と子を
親友の変わりに護ろうと決意した

壊れた世界の中で
唯一
親友の妻と子が
俺の心の支えになっていった

親友の妻と子を護ろうとする
強い使命感から

いつしか感情が一線を越えていた

変なニュースが流れたと思ったら
あっという間だった
見舞い先の病院は兵士に襲われた
生きている人間に発砲し
更にウォーカー
パニック状態ではあったが
俺は親友のリックを連れ出そうとしたんだ

だが意識を取り戻さない
身体には管が入ったまま
息もしてるのかしてないのか
どうすればいいか
結果連れ出すことが出来なかった

何故今…そんな親友が
こんなに憎いのか
今はリックには憎悪しか無い

ローリと息子のカールを俺は愛している
誰にも渡したくない
ローリはリックと再会するまでの
俺との関係は過ちとし消し去ったが

【………】

『??』
おまえが消えちまえばいいと
心底思うよリック

【なぁ…いつまで
農場にいるつもりだよリック
とっくに死んでた少女を探させ
今度はなんだ
おまえを襲った余所者を
殺すか生かすかで時間と
生きる為の飯を無駄にするのか?】

『口を慎めシェーン…』

【おまえは何がしたい
おまえの一番大事な者は何だ!
ローリやカールじゃないのか!?
こんな辺鄙な牧場で
いつか食料が切れるとわかる場所で
ダラダラダラダラ
いる意味があんのかよ!?】

『シェーン!!
いい加減にしろ!!』

【わかってねぇなおまえはリック
いつまでイイコちゃんぶってんだよ
なぁ!?
周りにはウォーカーか腐った人間が
いつだって俺達を狙ってる!
とっととアノ餓鬼をやっちまうのが
利口だと思わないか?
ダリルが奴の口をわらせた奴の裏には犯罪集団が
30人いると言った
俺達は何人だ?考えろよ
ローリが奴等に取られてもいいってのか?】

『…いいわけ無いだろう』

【置いてきちまえばよかったんだ
おまえ達を襲った人間のバックにつく集団なんざ
脅威になると目に見えている違うか?
未成年がなんだ
あ?!銃を持って襲ってきたんだ
立派な犯罪者じゃねぇか】


嫌気がさして
今でも直ぐに出ていきたい

1つ
俺の足枷が外せない

コイツから離れないローリやカールから
俺が離れられない

『…おまえは
変わったなシェーン…』

【おまえも変わったさ
根本的な根っ子が
変わってないが…それに】

『?』

【俺は変わったわけじゃねぇよ
この腐った壊れた世界が
俺の今までの仮面を外したんだ
わかるか?リック】

『………』

【あん時に
ウォーカーの群れの中に
あの囚人を置いていきゃよかったんだ!
マギーを知っていたからどうした
牧場を知っていたかどうした
殺しちまえば
なんの心配もなかったんだ!】

『…おまえを
救うために…』

【デールの生かすって
下らない話に
乗る気じゃねぇだろうな…リック】

『俺は殺す決断をし
デールに周りの意見を聞けと
こうして時間を作ったんだ
…俺は生かす気はない』

【じゃあ
あんな老いぼれの意見なんざ聞かず
とっとと殺せ!】

おまえをキャンプに居たあん時に
殺しておけばよかった
邪魔なデールさえいなければ
1度外したおまえへの銃先を
俺はもう1度
向けていたかもしれない

今ならわかる

今…おまえを消したいリック











【………】

(……)

【おまえまさか
生でリスを食ってねぇよな?ダリル】

(…なんだよ
関係ねぇだろ?)

【美味いのか?】

(…土よか美味いんじゃねぇか?)

【…くく】

(…………)

【おまえは何故
まだ此処にいるんだ?
嫌気がささねぇか?
自由じゃないルールも曖昧
タラタラとこの辺鄙な牧場で
ただ時間を無駄にしている】

(アンタに関係ねぇだろ
俺の事は…)

【おまえと俺は似ているよダリル】

(は?)

【…この輪から
外れている
それはリアルを考えているからだ
きちんと
この腐った世界で
どう生き抜くかを見ているからだ】

(…一緒にすんなよ
おまえと俺は違う…)

【どう違う?】

(向こう行けよ…シェーン
絡むな暑苦しい
なんだ…おまえ
欲求不満か?
おまえになついている女と
晴らしてこいよ俺に近づくな)

【…おまえこそ
欲求不満にならないのか?】

(一人でも処理できるさ
欲求不満じゃねぇよ
必要以外は絡む必要が無いから
近づくなよと言ってんだ)

【…おまえはめんどくせぇが
嫌いじゃねぇ
寧ろ今じゃおまえは
この世界に一番馴染んでる】

(……なぁ)

【………】

(アンタこそ
何で此処にいんだよ)

俺は
今…何をすべきかわかっている

進む道は
地獄でしかない

その道を進みながら
ローリやカールを守るには
無駄な道理など意味をなさない

獣の様に
弱肉強食
道は自分で開かなくてはならない

喰うか喰われるか
非常にシンプルな世界になった

『…シェーン』

【……】

俺はおまえが邪魔だよリック

俺はおまえを消したいよリック


最初は純粋に
おまえの嫁と子を護ろうと必死だった
ローリとカールには
俺しか居なくなった

俺にも彼女とカールしか居なくなった

おまえが邪魔だよリック

おまえが…

『…時間だ
集まる場所へ来いよ』

【どうせ
デールの生かす論は通らねぇよ
行くだけ無駄だ
結論は囚人を死刑にする事だ
生かす意味がないからな】

おまえが消えれば
元に戻る

ローリやカールは俺のものになる
おまえのことなんざ忘れるさ
周りの奴等も同じだ

そして前へ進むんだ






何故
俺はまだ
此処に居るんだ

ローリ…カール?

『いいから
来いよシェーン…』

違う?もうよくわからない


何故こうなった

何故お前への俺の怒りは止まらない

何故お前は俺を理解しない

ローリやカールや周りの人間よりも
俺が一番
お前の傍に居たのに

リック…リック

【早く…前へ進もうぜ】

お前の一番は
俺の筈なのに

俺だけな筈なのに


そうじゃない
俺がお前だけなんだ

殺さなくては
リックを殺さなくては

俺は止まったままだ

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