CP1
□断片
4ページ/5ページ
「うん……ええよ」
君島の提示した条件に、種ヶ島は穏やかに頷いた。
「でも、サンサンは自分のタイミングやなくてええの?」
ここまで来てわかったことがある。
遠野の心は折れない。彼からテニスを奪うことはできない。私にその権利も無い。
それでも。
「……彼を見ていると決意が揺らいでしまいそうだから」
「あぁ〜」
君島の暗い表情に、種ヶ島は納得したように何度も頷いた。
「できれば雑念の入り込む余地の無い、試合の直後などでお願いします」
「細かいなぁ。ええけど!」
「全てを話せば遠野くんも私に愛想を尽かすでしょうね。そうなれば清々しますよ」
そう付け加えた君島を種ヶ島は暖かい眼差しで見守っている。