CP1

□断片
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「非常に能力の高い、バランスのとれた選手だと思いますよ。ダブルスパートナーとして実に申し分ない相手です」
話したいことがある、と君島の部屋を訪れた種ヶ島の口から出た中学生について、思ったとおりの印象を述べた。
「それだけか?」
 食い下がる種ヶ島に君島は肩をすくめた。
「まとまり過ぎてる感じは否めませんね」
 来るフランス戦のオーダーの予行演習でも君島が白石を引っ張る形に終始していた。君島の存在など意識にないかのように縦横無尽に振舞うパートナーをどうコントロールするか、苦々しさと共に頭をフル回転させてたことを思えば戸惑いすら覚えたが、それは白石個人に限ったことではなかった。
「やっばりそう思うか〜」
「随分気にかけているようですね。彼からも聞きましたよ、世話になったと」
 左足に施されたどこか見覚えのあるテーピングに目を留めると、自主練習の際、通りがかった種ヶ島と遠野が助言をくれたと白石は説明した。
 いい人ですよね、遠野さん。
 恐らく共通の話題として、君島のかつてのパートナーを褒めたのだろう。白石は自分を治療してくれたこと、切原の身体に負担が掛かるので、挑発する発言は控えて欲しいと伝えたら了承してくれたことを話した。遠野さん「俺は悪魔は嫌いだ」て。了承してますか?それ。
「うん。そんでな」
白石の為に時間を稼いで欲しいと、いつになく真剣な表情の種ヶ島に君島は目を閉じた。

2018/9/1


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