派生色松novel

□シロツメクサの花冠4
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カラ松は図書室で植物図鑑を眺めて待っていた。カラ松は花が好きらしい。女の子らしくて可愛い。とても素敵だ。
「カラ松、会議終わったよ。さぁ、帰ろう。」
僕がそう声をかけると、
「お疲れ様だぁいぢまづぐん!帰るだよ〜!」
と、笑顔で答えてくれる。その笑顔が僕はたまらなく好きだ。
見ているだけで嫌なことを全部忘れさせてくれる。
この笑顔だけは誰にも渡したくない。いつからかそんな独占欲が生まれていた。
馬鹿らしい。カラ松は僕が独占しなくたって一緒にいてくれる。心配なんかしなくていいのだ。

僕達は帰り道に花が沢山咲く土手に向かった。そこで時間を潰す。それが日課になっていた。
「今日もたぐさん咲いてるだ〜!みんな綺麗だな〜!」
ただ花が咲いているだけなのに、嬉しそうにするカラ松。そのなんと愛しいことか。
「...そうだね、綺麗だね。」
ぽつりとそう一言返事をする。僕は口が達者じゃないからカラ松とあまり多くは語らない。カラ松もそれをわかってくれて、にこにこしながら傍にいてくれる。たまに少しの会話をして。そのロースピードな帰り道が、僕達にとっての癒しだった。

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