番外
□happy valentine's day
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わたしは無我夢中で海辺まで行くとようやく腰を下ろした
あの太宰さんに恋人の1人や2人いない方がおかしい
「こんなもの…捨てちゃおうかな」
綺麗にラッピングされたチョコレートを眺めながらわたしはため息をついた
大粒の涙が流れる
「もし、そこの貴女」
後ろの方で声がしたので振り返ると黒ずくめの服を着た異国の人が立っている
目が青く、白い上品な髭が印象的だ
わたしは涙を拭くと、笑顔を見せた
「どうしました??横浜の街に行きたいならあっちの…」
「貴女、ポートマフィアの情報員youさんですよね」
その言葉にわたしは目を見開く
「え…なんで」
「私は、かの国で小さな異能力組織を束ねているものです。youさんには是非お話をお伺いしたい…ポートマフィアについてね」
男の言葉でわたしははっとする
それも遅く、男がわたしの手に触れると何か異能力だろうか
意識がどんどん遠くなる
男はyouを連れ去り、後にはチョコレートが1つ海辺に残されていた
「安吾〜暇なのだよ遊びに来たよ」
太宰が坂口安吾の職場にふらりと立ち寄ると情報員たちはいつになく焦った調子で動き回っている
「どうしたんだい」
「ああ、太宰君。私の部下のyouはご存知ですよね、彼女貴方に会いに行くと言って先ほど帰ったのですが会ってないですか」
you?
私はは首をかしげる
youは数年前に私が気まぐれで助けた女の子だ
それ以来私のお気に入りでよくからかって遊んでいる
マフィアらしからぬ純粋な女の子で
私を見ると顔が真っ赤になるもんだからよくちょっかいを出したくなるのだ
そのyouが私に用?
「いや、見ていないよ」
「おかしいですね…」
「安吾さん、youが異国のマフィアに攫われたとの情報が」
安吾の部下が、安吾に耳打ちする
「なんですって」
「安吾、私ちょっと探してくるよ」
ちょっと太宰君まってください、という声を無視し私は考え込みながら歩き出した
youが私に会いに来たのだったらどの道を通る?
そのあとどこに行く?
答えは簡単だった
マフィアの基地近くの海辺に行くと案の定youの落としたであろうチョコレートが落ちている
そこに書いてある
”太宰さんへ”の文字
私は急いで安吾に電話をかける
「安吾、異国の異能力組織のアジトは」