番外

□側にいる理由
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苦しそうな息をしていた芥川もしばらく立つとだいぶ落ち着いてきたようだ


「よかった…」

とホッとしてyouが立ち上がったときだった



目の前に芥川の黒獣がつきつけられた


「ここはどこだ、説明しろ」


ソファを見ると先ほどまで寝ていた芥川が半身だけ起こしてこちらを睨んでいる



「うわ、びっくりした!!死にたくないから消してください」


言ってみると案外素直に、芥川は異能力を消してくれた


意外といい人かもしれない



「ありがとうございます芥川さん」


喉にいいかもしれないと、はちみつレモンを作り、芥川の前に差し出した


「さっき道で倒れたからここまで運んだんです」


「要らぬ世話だ」


そう言って、顔を背け立ち上がろうとする芥川




「あ、まだ起き上がらない方がいいですって!今日は泊まってください。お身体良くないんでしょ」


もう夜は遅いですし、というと芥川は渋々はちみつレモンを受け取った











目がさめると、知らない部屋にいた

きちんと片付いていて、いい匂いがする

そうだ、先程任務のあと道で倒れて…




体を起き上がらせると、1人の女の背中が見えた


すぐに、黒獣で脅しにかかると

普通なら"助けて"だの言うはずなのにこの女はどこかぼんやりして飄々としていた


敵を助け、その上に泊まれなどと言う


変な女だ



なにも考えてなさそうに、にこにこ笑いかける女を見ていると反論するのも馬鹿馬鹿しく思えてきた



「おい、貴様。ここには貴様1人で住んでいるのか」


先程から思っていた
この部屋は1人の女には大きすぎる


「太宰さんと2人暮らしですよ」


「…なんで貴様なんかが太宰さんなんかと」


そうだ、思い出した

こいつの兄は太宰さんが友人だと言っていた男だ


「貴様の兄は織田作之助と言ったな」

「え、兄さんを知ってるんですか??」


女は、ぱあっと顔を明るくして顔を近づけてくる


己に向けられた大きな瞳に思わず顔を背ける


「貴様の兄も助けなどいらぬと言っているのに僕を助けに来た、兄妹揃って要らぬ世話だ」
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