番外
□指きりげんまん
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聞くと織田youは唯一の身寄りであった兄が死に、今は学校も休学しポートマフィアで働いているらしい
唯一の頼りとなる”兄の友人”なる人物も今は姿を消しているそうだ
異能力があるにも関わらず普通に生きていきたいから、隠しているらしい
何度も異能力については言わないでくれ、と釘を刺された
”時間を止める異能力”
暗殺者や情報収集にぴったりな人材だが俺はyouのことを考えて首領には言わないことにした
とにかく、youは仕事の同僚(といっても全員中年だ)以外にはひとりぼっちだった
きっと、さぞ寂しいに違いない
「…なら、俺が手前に会いに行ってやる」
お詫びにと、誘った喫茶店で俺は俯きながらそう言った
すると、youはふんわりと笑った
「ありがとうございます中也さん」
その言葉で、大好きな酒も一生いらないぐらいだった
「初いのう」
と紅葉の姐さんに最近ぼんやりとしていることを指摘されyouのことを渋々話すとそう言ってにやりと笑われた
俺は、仕事のない日は毎日のようにyouの元に通った
ただ、何気ない話をしてyouのことを知れるだけで幸せだった
「中也さん、ピーマンいらないです」
「あぁ?!黙って食え。子供じゃねえんだからよ」
youといつも行く店で、いつものようにyouは俺の皿にピーマンを投げ込んでくる
youはいつの間にか俺の当たり前になっていった
恋仲のような関係ではなく親友や兄妹の様な関係だったが
今はそれで満足だった
本当に自分の生活の隣にはいつもyouがいるようになった
youに会うたびに必ず俺の車が爆発したり、帽子がなくなったり、家に不幸の手紙が届いたりすることが不思議といえば不思議だったが…
ーーーしかし、2年間のそんな生活も終わりを告げることとなる