番外

□指きりげんまん
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俺がyouに初めてあったのはちょうど太宰の野郎がポートマフィアを抜けたすぐ後だった




俺は、太宰がいなくなったことに浮かれてこの上なく上機嫌だった



いつもなら部下に頼む会計場に自ら行くぐらい大層気分がよかった



そこでyouに出会った





俺は浮かれすぎて少々異能力を暴走させたらしい



そのせいで会計場で書類を打ち込む女子に飲み物がかかってしまった



「悪ぃ」


慌ててそう繰り返しながら俺が女の服をハンカチで拭くと女が顔あげた




その顔に俺は思わず見惚れてしまった






「大丈夫ですよ、そんなに謝らないでください」





そう言って優しく微笑む女




俺よりはかなり年下だろう


ポートマフィアの一員とは思えない純粋な笑み


透き通るような綺麗な瞳



ーーー可愛い


決して大層な美人というわけでもなかった


しかし、俺はなぜか彼女から目が離せなかった




仮にも泣く子も黙るポートマフィアの一員
いい歳こいて一目惚れとは情けねぇ

「本当にすまねぇ、なんつーか…その…」




柄にもなくもじもじしていると不思議そうに俺の顔を覗き込んでくる



こんな様子をどっかの誰かさんが見たら100%いじられるだろう



太宰がポートマフィアを抜けて本当に良かった



「本当に大丈夫ですよ。幹部の中原様ですよね、お仕事お忙しいと思いますので気になさらないでください」



いや、ここで引き下がってはこの女と2度と関係がなくなってしまうかもしれない




「中也でいい。詫びに…その…茶でも…」



そこまで言うと驚いたように目を見開く女
そして、そんな俺の様子が面白かったのだろう
ぷっと吹き出して笑いだした




「変わったポートマフィアの幹部様ですね、わかりました中也さん。じゃあケーキもつけてくださいね、約束です」


そう言って小指を突き出してくる



俺は不思議そうな顔をしていたんだろう



「指切りげんまんです!」



そういって、俺の指に小指を絡めてきた


それだけで顔が赤くなりそうだった

隠すように、帽子を目深に被る


ーーゆびきりげんまん、嘘ついたら入水自殺、指切った!





ーー誰かを彷彿とさせる謎の歌だった

そこにはあえて触れなかった

彼女の歌が終わると同時に名残惜しげに指が離れた




それがyouとの出会いだった
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