番外
□happy valentine's day
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今日は女の子が誰しも浮き立つバレンタインデー
みんなそれぞれ好きな人、恋人のためにチョコレートを作りプレゼントするためにそわそわしている
それは、youにとっても例外ではない
「今年こそはこそは太宰さんにチョコを渡すんです…!!」
目を輝かせながら、わたしは昨日作ったチョコレートを握りしめる
一昨年は、中也さんに邪魔され渡せなかった
去年は緊張しすぎて失敗
「独り言が大きいですよyou、さっさと太宰君に渡してきたらいいじゃないですか」
ため息をついているのは、わたしの上司坂口安吾さん
わたしは、ポートマフィアの情報員として働いている
「そんなこと言ったって…太宰さんは幹部ですよ?!それに…もしフラレでもしたら…」
ああ、一巻の終わりだ
第一、太宰さんに嫌われたらマフィアにいる意味がなくなる
わたしが、ポートマフィアとして働くのは太宰さんに近づくためだった
わたしが学生の時、異国のマフィアに襲われた時があった
その時助けてくれたのが太宰さんだ
その日太宰さんに一目惚れしたわたしは、そのあと無我夢中で太宰さんについて調べその調査力が首領に認められ晴れてポートマフィアとなった
そのあと、太宰さんに何回も近付こうとするが、緊張で話せず告白なんて夢のまた夢だった
だから、バレンタインが1年に1回のチャンスなのだ
「それより、僕にはないんです?チョコ」
「あ、忘れてました!!どうぞ安吾さん」
わたしの差し出した板チョコに安吾さんはがっくりと肩を落とす
「いくらなんでも…これは義理チョコすぎませんか」
落ち込む安吾さんを横目に、お先に失礼します〜とポートマフィアの基地を後にする
太宰さんが今日おそらくこの時間に通るであろう道にスタンバイした
侮っちゃいけない、わたしはポートマフィアの情報員だ
「あ、来た」
遠くに見えるのは包帯を巻いた端正な顔の男
太宰さんだ
「あれ…隣に誰か…」
よく見ると太宰の隣にはとても綺麗な女の人
長い綺麗な髪に白いワンピース
儚げで大人っぽくて
女の人と太宰さんは目を見合わせ楽しそうに喋っている
その様子はまさに
「太宰さんの…恋人かな」
あんな人に敵うはずがない
わたしは目を背けるようにしてその場を立ち去った