恋愛ストレイドッグス


□うつくしき人は寂として石像の如く
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敦が助けた少女はポートマフィアの暗殺者だった


ということは、太宰さんを連れ去ったのがもしこの子なら…


嫌な予感がして診療室の前でyouはため息をついた



同じく、国木田と敦も女の子

ーー泉鏡花に聴取するため女の子が目覚めるのを待っている



「目覚めたよ」

与謝野の言葉に、3人はぞろぞろと鏡花の寝る診察室に入る



「娘、黒幕の名を吐け」

国木田は、尋問するような強い口調で話す


「国木田さん、やめてくださいまだこの子は子供です」

youは珍しく国木田を睨みつけた

そんな様子に国木田がため息をつく


「youが子供に弱いのを忘れていた、好きにしろ」



youは、にっこりと国木田に笑いかけ、優しい顔をして鏡花に話しかける



「鏡花ちゃん、話して欲しいことがたくさんあるのいいかな?」


「わかった、そのかわり橘堂の湯豆腐が食べたい」


鏡花の言葉にyouは、きょとんとしてすぐに笑いだす



「なんだ、いいよそのくらい。わたしが食べさせてあげる」




youの兄、織田作之助は孤児を育てていた

そのため、youもよくその子たちと遊んだりしていたし
子供たちも"you姉さん"と呼んで慕ってくれていた



その影響からか、youはなによりも子供に甘い性格になってしまった




「youちゃん…値段…」


お品書きをみて震える敦の横でyouは湯豆腐をパクパク食べる鏡花をこの上なく愛おしそうに見つめていた


「もういくらでも食べてね」

そういうyouの横で国木田は小声で敦にいう


「youは子供に弱いんだ覚えておけ」



ようやく満腹になったのか、鏡花はポツリポツリと話し出した


「両親が死んで孤児になった私をポートマフィアが拾った。私の異能力、夜叉白雪を目当てに」


鏡花の異能力はケータイの声にしか反応しないそうだ


バッテリーを抜いたケータイを国木田が差し出す



「ポートマフィアはお前の異能力を上手く利用してお前を強力な暗殺者に仕立て上げたわけだ」



「こんなケータイ電話なんですてなかったの」



「逆らえば殺される。それにポートマフィアを抜けても行くところがない」



youは鏡花の言葉に織田作之助が死んだ時の自分を思い出した


この子は、わたしより状況はひどいけど気持ちは理解できる


助けなくちゃ


「そのケータイで夜叉を操っていたのは誰だ」

国木田の問いに鏡花が答える


「芥川という男」


「そうか、俺とyouは社に戻って報告する。小僧、ちょっとこい」


そう言って、国木田と敦は部屋の外に出た
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