恋愛ストレイドッグス
□運命論者の悲しみ
1ページ/6ページ
「おい、小僧が目覚めたぞ」
事務作業をするyouに国木田が告げる
その手に持っている理想と書かれた手帳は上下さかさまだ
「国木田さん...手帳反対ですよ」
「俺は慌ててなどいない!!!」
慌ててるんだ...
人虎――敦には70億の懸賞金がかかっており、探偵社に襲撃がいつ来るかわからないといった状況である
まあ、その半分はyouにも原因はある
ポートマフィアの首領はなんせyouとの面会を望んでいるとの話だ
みんなにお詫びもかねて襲撃後の処理は率先してしようそう思いリフォーム会社に連絡を取る
国木田は、リフォームや襲撃後の書類整理といった想定外の出来事が心配なのだろう
支離滅裂なことを言う国木田に適当に返事をしながら、席を立ちあがりお茶を入れる
「あ、you僕にも入れて―」
「だと思って人数分入れてますよ乱歩さん」
「さすがyou」
そんなやり取りをしながらまだ荒れている国木田の前にお茶を置き、
「リフォームの見積もり、襲撃前の今のうちに頼んでおきましたよ。敦さん見てきますね」
「ああ助かる」
そう言いながら国木田は万年筆を上下反対に使っていてなぜインクが出ないんだといいながら文字を書き続けている
先ほど太宰は喫茶店『うずまき』の店員さんと心中してくるといって出かけて行った
「敦さん、お身体だいじょうぶですか」
医務室に入ると、少し元気のなさそうに見える敦がベッドに座っていた
「ああyouちゃん....ごめんね、僕のせいで探偵社が狙われてるらしいんだ」
なるほど、だからこんなに落ち込んでいるのか
勘が鋭くないyouでもわかる
おそらく、探偵社が自分のせいで襲われてしまうと思っているのだろう
「そんなに落ち込まないでください、わたしだってなんか最近狙われてるらしいし」
わたしの異能力について情報漏らしたの誰だったんだろう
そんなことを考えると、youのケータイにメールが来た
メールに了解と返信をし、再び敦を見る
「あんまり思いつめないでくださいね、探偵社はこんなの日常茶飯事ですし」
そういって微笑むが、思い悩む敦にはその言葉は届かないようだった