番外
□あの日の思い出(幼少)
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夜の横浜の街は人でいっぱいだった
兄さんなしでこんな時間に外に出たことなんてない
初めてみるネオン
初めて聞く夜の騒めき
それは幼いわたしの心をざわつかせるのに十分だった
時折、綺麗なドレスを着たお姉さんが
「あら、迷子?可愛い〜」
と話しかけてくる
「兄さんをさがしてるんです。」
そう言って兄さんの特徴を伝えても綺麗なお姉さん達はけらけら笑って
”がんばって見つけるんだよ”
と言って何処かに行ってしまった
そんなこと言われても知っているはずがないなんて大きくなった今ならわかる
大方興味本位で話しかけて、めんどくさくなったのだろう
歩き回っているうちにいつの間にか知らない場所に出てしまった
さっきまでキラキラ輝いていて目が痛くなりそうだったネオンもいつの間にか無くなり、あたりは怪しい提灯の明かりが照らしていた