09/10の日記

22:36
光を掻き分け闇を求める*骸ディノ
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DOGOD69さまよりお借りしてます。




『ちゃお、骸!』

そう気さくに現れた彼は、なにもいわずにぱったりとこなくなった。そんな予兆も全く見せずに。

「全く…」

自分はなにを考えているのかわからない。
勝手にやってきて、帰ったのだ、これで自身の平穏もなにもかも通常に戻るだけ。
そう、戻るだけだ。

なのに、一向に心が晴れない。現れなくなってからずーっとだ。
どうして自分だけがこんな想いをしなくてはいけないのか。心を乱すことはあっても乱されることなど無かったのに。なにもかもが気に食わない。勝手にいなくなった人にも、自分の心にも。


「ちゃお、骸」

「……」

ギリ、骸が拳を握り締め相手を睨みつける。
憎しみだけで人が殺せるのではないかというほどに。
いや、骸ほどの術士ならばそれだけで普通の人間は死ぬだろう。

並々ならない骸の威圧と殺気にディーノは苦笑して肩を竦める。

仕方ない子ども、だというように。

「ちょっと急に仕事が入ってな」

眉が下がり少し申し訳なさが伝わるが、骸とて単なる子どもではないのだ。そうして、同情でも引きだそうとするのはマフィアの常套手段の一つしかない。
あのマフィアのボスに不釣り合いな子どもならば騙されるだろうが。

「別に、貴方がどうしようと知ったことではありませんよ」

何でもない、と視線をそらす。ディーノはくす、と声を出して笑う。

「なんだー。ちょっとくらい寂しがってくれてると思ったんだけどなぁ」

間延びした言い方に遊びが含んでいることがわかる。
からかうつもりなのかどうかはディーノの性格上判断しかねるのだ。

読めない相手の心に若干いらつきながら、手短に用事をきく。

「…用事?ないぜ」

「だったら、なぜ来たのです?」

いくら何でもそこまで暇ではないだろうに。
ではなぜ、と問い掛けてみたものの、答えは出ている。どうせアルコバレーノか、沢田綱吉、もしくは…雲雀恭弥、か。

ふっ、と相手の表情が柔らかくなった。
なにかを慈しむとき人はもしかしたらこんな表情になるのかもしれない。
そんならしくないことが頭を過ぎる。

「そりゃあ、骸に会いに来てるに決まってんだろ?」

「っ!」

「…なーんてな。本当だったらどうしてる?」

クスクスとイタズラが成功した子どもみたいに笑う相手にほんのりと心に殺意が芽生える。

「クフフフ。君は本当に面白いことを…」

「でも、なんとも思ってないやつに会うほど俺はヒマじゃないぞ」


骸は珍しく言葉を失った。



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ディーノさんが出た!な記念v

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